語りの内容
ブラキセラピー(brachytherapy)のプラキ(brachy)という言葉はギリシャ語の「新しい」という言葉から来たもので、therapy は「治療」という意味だから、つまりは「新しい治療」ということなんです(訳註:この患者は誤解している。Brachy-の本来的な意味は「短い」の意、したがって小線源「近接照射法」が正しい訳語)。この用語には何も悪い意味はありません。実際の内容は、前立腺の中に放射性ヨウ素のシード(種)(訳註:小さなカプセル状の線源)を注入して、ある期間にわたって、およそ3ヶ月ほどですが、がんを破壊するものです。
注入は非常に正確に行われます。超音波装置で何度か部位調整を行って、洗っても消えないインクで小さな入れ墨の目印をつけます。注入は会陰(えいん)部――だと思うけど、そう呼ばれる場所――に行われます。それは肛門と陰嚢の間にあります。いくつかの穴が造られ、シードは正確に前立腺の中に等間隔で残置されます。この間、肛門に入れた超音波装置でシードが確実に前立腺内にあることを確認します。こうすることで、失禁や性機能に関係する神経の傷害を起こす可能性は皆無ではないにしても、起こしにくくなります。
この治療法の副作用のパーセンテージは非常に低いものです。一方、(通常行われる)アーク照射放射線療法では、ビームは前立腺以外の外部組織にも5%くらいは、明らかにかかっており、それが患者の感受性によっては重大な障害をひきおこすことがあるからです。私の場合、6週間前の治療の時には排尿に問題がありましたから、かなりこの感受性が高いようです。もっとも時間と共に改善しつつあり、先生は長期間にわたる問題ではないとほぼ確信しておられます。私は過敏だと思うので、比較的長期の放射線療法を受けていれば問題になるだろうと思っています。
超音波で決めた刺青による小さな消せない目印のおかげで、近接照射法治療を非常に正確に行うことができます。私の場合、一層の正確を期して、左右両サイドとお臍の下に前立腺の上端部につけられました。こうすることでどんな配置の治療も可能になります。シードがどこにあるか正確に確かめるために超音波を受けました。数分でトンネル内の寝台にのせた患者を寸分違わず中心に来るよう調整し、正しくその位置で超音波をかけることができるのです。
どうするかというと、日曜日に病院に行き手術の準備をし、食事だけは禁止です。私の場合は、月曜の朝に手術を受け、翌火曜日の昼食時には帰宅していました。ただひとつ、先生方は不快感があることを患者に告げるべきだと思います。そう告げないことで先生方が悪いとは申しませんが、人によっては全く不快です。しかしながら、全く無反応な人もいます。これは他の治療においても同じでしょう。放射線療法がうまくいかない人もいます。前立腺を毎日絶え間なく焼かれていることを忘れてはなりません。これは何度も日光の下で毎日毎日皮膚を焼いて、日焼けをするようなもので、当然のことながら症状は悪化します。だから、そうなった症状は可なり明らかで、自分がそう思うのであれば、先生から実際的なアドバイスを受けられ、問題点について話し合えるし、いつでも支援情報サービスがありこれを利用するよう勧めてくれるし、これはとても良いことだと思います。私も何度かこのサービスを利用したことがあります。それはパニックに陥った時ではなくて、非常に気分がわるかった時ですが。
肛門内超音波検査を受けたり会陰部に注射をしたりするときには全身麻酔をします。 その後は、かなり不快感がありましたよ。立ったり座ったりするときに不快感があるのですが、奇妙なことに、擦り傷も、刺し傷も全く気づかなかったし、再診で先生のところへ戻ったときも「おや、ずいぶん良くなってますね」と言われました。そのとき以来、傷のことなんて全く意識していませんでした。もし意識していたとすれば、小さな注入孔が沢山開いていると思ったはずですが、全く考えたこともなかったのです。何か非常に腫れているように感じたのは、座るときに不快感を感じたためだと思います。でも、今は6週間後ですが、不快感はなくなりました。それまで優に4、5週かかりましたよ。最初の2週間はものすごく痛かったのですが、それから次第に痛みはなくなりました。
どんな手術でも治るまでには時間がかかります。放射線療法でずっと焼かれ続け、治療は続けられているのですからね。照射量が少なくなるにつれ治癒力は明らかに改善されます。放射線量は6週間から2ヶ月までが最も強いと思うのですが、3ヶ月間、できればもっと長期間、小さい子供や妊婦にはできるだけ近寄らないようにと医者は注意します。ですから、3ヶ月間は放射線が強く作用しているのです。でも、空港(のセキュリティーチェック)では警報はまったくならないよと、はっきりと言われましたね。(笑い)
――手術後のことで、何か他に言っておきたいことはありますか?
はい、あります。それは尿が出るようになると帰宅が許可されますが、出ない場合は最大10日間まではカテーテルを用い、通常、その後は帰宅が許されて、普通の生活ができるようになるのだと先生には言われました。術中つけていたカテーテルは術後にはずされ、以後はつけずに済んだのはとても嬉しいことでした。カテーテルをしていないので排尿の回復はずっと早いと期待していました。
インタビュー41
- 調子が悪いと思って受診したが、前立腺に何か問題があると思わせるような徴候はなにもなかった
- がん患者には、食生活のバランスが取れていなかったり、ストレスが多かったりする人が多いのではないかと論じている
- 自分が受けた治療について述べ、副作用についてもっと伝えて欲しかったと言っている
- プラキセラピー後に起こった当初の排尿問題からどのようにして自信を回復していったかを説明している
- ブラキセラピー(小線源療法)後,排尿に一時的に支障をきたしたと言っている
- がんの話題はタブー視されているので、そのことは話しづらい気がすると言っている
- あらゆるタイプの治療法について、慎重に検討することの大切さを他の人々に言いたい