語りの内容
病院の職員や看護職員、どの職員もとても親切で思いやりがありました、おかげで私はとても心地よく感じ、職員のことについては心配ありませんでした。それに、私に通常以上に情報を、何も隠さずに、与えてくれました。担当の麻酔科医に会いました、彼は前立腺の手術で多数の麻酔剤を患者に使っていました。おそらくこの国で彼ほど前立腺の手術に多数の麻酔剤を使う医師はいないだろう思いました。私たちは前立腺手術での麻酔の問題点についてざっくばらんに話し合いました。おかげでとても安心しました。そうそう、麻酔前投薬は使わないということだった。見落とした事柄はほとんどなかった。彼としては自分の担当する手術では麻酔前投薬を使うのを好まないということを知りませんでした。それで私はしっかり目がさめたまま手術室に向かいました。それから導入麻酔がなされ、麻酔科医は私にこう言いましたね、“まあ、これはまさにシャンパンをちょっと飲み過ぎて酔っ払ったようなものですが、とても楽しい気分になりますよ”って。私は導入麻酔でもたらされた気分にはまったく関心がありませんでした、それで私は、“このシャンパンはかなりひどいシャンパンだね、もし麻酔から覚めなかったら今の言葉は臨終の言葉となるでしょうね”、と言いました。
――ところで麻酔は注射でしたか?
ええ、そのとおりです。そのあと私は集中治療室で目覚めました。
――集中治療室はどのようなところでしたか?
そうですね、予想していたよりもはるかに良いところでした。目を覚ますと誰もが痛みについて尋ねてきました、どの看護師も部屋にやってきて患者の傍らにすわって話しかけてくれました。痛みに付いてはみなさんにお知らせしておきたいと思います。外科医と麻酔科医も忠告してくれたことでした。麻酔で寝むらされるときに、目覚めたときには相当な痛みを感じるに違いないと思っていました。ところが目覚めると不快な感じがあるだけでした。投与されている鎮痛剤の量を自分で調節して、量をもっと増やしたければ増やすこともできましたが、これ以上増やす気持ちはありませんでした。その当時、かなり沢山の点滴と、もちろん、酸素吸入を受けていました。まさに通常の集中治療手順です。それと、ものすごく愛想の良い男性看護師が私の専属でした、彼はこれ以上は無いほど手際が良かったと思います。ひっきりなしにあれやこれを調節したり、点滴のラインになんだかわからないものを入れたりしていました。
――一般病棟に戻ってくるまで、どのくらい時間がかかりましたか?個室と一般病室のどちらに入りましたか?
私は個室に入りました、集中治療室には24時間ちょっといてから上の階の病棟に移りました。手術中に出血していたので血圧と血中酸素に問題あり、何単位もの輸血を受けました。一般病棟に、つまり自分の病室に、戻ったときでさえヘモグロビン値は7だったことからも相当な量の出血をしたことがわかりました。