語りの内容
そこで私は聖ジョージ病院へ、ワクチン療法治験を行っている医師へ手紙を書いて、詳しい情報を求めました。この治験が始まってから2ヶ月ほどの時でした。60人の男性が新しくできた前立腺ガンワクチンを受けることになっていました。同様のワクチンがメラノーマ(黒色腫)で使われており、有効と判定されていたので、あるガンに効くのなら他のガンにも効くだろうと考え、勇気づけられました。治験に関する情報を書いた資料を手に入れ2人の娘と話し合いました。彼女らは ”もし私がこの療法を受けてみたいなら、やってみたら”と言ってくれました。これが効かないと感じたら何時でも治療をやめられるとのことでした。この治験を受けるためには満たすべき一定の基準がありました。主な条件の一つは、PSA値が30以上で上昇中であること、二つのホルモン治療薬が効かなくなっている、ということで私は後者の条件を満たしていた。唯一の問題は私のPSA値はその時30をちょうど切っており、上昇していないことでした。それで、そうなるまでは受け入れられない、と言われたのです。 私はPSA検査を毎月定期的に受け、結果的に3ヶ月後に30を超えて上昇しました。それで昨年の7月に治験を受ける資格を得て、始めたのです。
これは治験なので、受けている間に事態は変わりました。最初は4週間毎にロンドンへ行って注射を受けなければなら無いと言われました。注射は左右それぞれの腋下リンパ腺に二つと鼠蹊リンパ腺に二つに打ちましたが,大丈夫でした。そんなに悪くなかった。注射したときにちょっとずきずきしたけどすぐに収まりました。治療を始める前に皮膚に(アレルギー)反応が出るかどうかをみる試験的な注射をしましたが、反応は出なかったので、治療を進めることになりました。それで4週間毎に注射を受け、気分は良好でした。活力が増してきたように感じ、以前のような疲れ易さも感じなくなり、ワクチンは効いているなと考えました。医師にどう思うか聞いてみましたが、当たり障りのないことを言われただけでした。多分まだ試験段階なのであまり多くのことを言いたくないのだろうと思いました。彼らが言った唯一のことは、治療を受けた大半の人達が体調が良くなってきたと感じており、ガンと闘う免疫細胞をさらに作り出しているようだとの印象を受けている、ということで、励みになるニュースでした。私は非常に気分が良くなってきたので、ガンと闘う細胞をどんどん作り出している人達の一人だろうと思いました。
――ワクチンがどうやって作り出され、何が主成分なのかを説明してもらいました?
これは他の患者の死んだガン細胞から作られたものです。似たような試験がアメリカでも行われていて、ワクチンは当の患者自身から採取された細胞から作られており、ここが違う点です。たしか,イギリスでもアメリカとまったく同じく、患者自身から採ったガンの死んだ細胞からワクチンを作って再注射するという試験も行われていると聞いています。私の知る限り目下追加の治験がおこなわれていて、聖ジョージ病で新しいものとロンドンのハマースミス病院でもう一つ、ね。これらについての詳しいことは知りません。
――この治験はどのくらい続くのですか?
私たちが最初に説明を受けたのは、12回の注射を受け終わった後は12週間毎の注射に切り替わるとのことでした。しかし私が12週間毎の注射の時期に来たときに、医師達は考えを変えたと言ったのです。私の前に治療を始めた人達の何人かが12回の注射を受けた後で12週毎の注射を始めたときに副作用を示したとかで、当初の計画を変更して12回の注射だけで打ち止めにすると決定したのです。それで私はこの7月で注射を終えたのですが,この直後に骨の痛みが再発してきたのです。注射を止めたせいなのか、または単なる偶然の一致なのか、私には分からないのですが。
インタビュー31
- 当初、PSAテストについて一切知らされていなかったと語っている。
- 乳製品が前立腺がんの原因である可能性について論じている
- 医師の面倒見が悪かったので、キャンサー・バックアップや前立腺がんチャリティーから情報を求めたと説明している
- 薬物療法の変更について語っている
- ワクチン試験の体験について語っている
- より健全な食事への変更およびビタミンサプリメントの増加について語っている
- 貼付鎮痛剤の適正用量をどのようにして見出したかを説明している
- ストロンチウム注射、およびそれが疼痛のコントロールに使えることを語っている
- 乳房痛など、治療後に現れるさまざまな副作用について語っている
- 大打撃をうけたこと、そして前立腺がんについてはまったく無知だったことを語っている
- 最初は活動的な生活を続けることができたが、かかりつけ医(GP)が前立腺がんのことをまったく知らなくて、それが不安だったと述べている
- ひどく疲れるようになって、それが自分のライフスタイルに影響するほどに差し迫った問題になったと語っている
- 何といっても前向きな姿勢が大事