語りの内容
ロンドンに着くと、まず説明を受けたのは、私が治験対象として適格か、医学的適性があるかどうかを診るために、いくつかのテストを受けなければならないということでした。テストは約8週間をかけて行われ、私は確実に3ヶ月間、月2回出席していました。
――そのたびに出かけて来られたのでしょうか?
そのたびに来て、私が候補者として適切かどうかを診るための様々なテストや検査をしましたよ。幸い私は候補者としての適性があったので、前立腺癌から採取して無毒化させた癌性物質の注入コースを開始しました。
――ヒトから採取したものですか?
そうです。その物質は無毒化されているとのことで、人間に注入しても全く安全だと説明を受けました。1か月に1度リンパ節サイトへの注射を4回受けることになっていました。
――あなたが注射を受けたリンパ節サイトはすでに癌にかかっていたのですか?
私の知る限りではかかっていません・・・。(注射した)リンパ節サイトはこの4か所で、2か所は腹部、1か所はそれぞれ両腕かその辺りでした。
――なぜリンパ節にその注射をするのか、説明を受けましたか?
まあ、彼らは基本的にリンパ系に注入したかったのです。なるべく早く体内に循環させて、必要なだけ抗体が作られるかどうかを知りたかったのだと思います。でも残念なことに、この数ヶ月後、私のPSAレベルは高くなり過ぎてしまい、顧問医師はその時点でこれ以上治験を続けるのは私にとって無意味だと決断したのです。
――ワクチンのことでお聞きしてよいですか? 最初に説明を受けた時それについて何か心配しましたか?
別に心配は何も。
――不安はなかった?
全くありません。それは恐らく私には電子、物理、工学といった背景があるせいで、巷で噂になっているホメオパシーや薬草療法よりも最近の技術に期待する傾向があるからでしょう。私は最新最高のものを求めています。ともかくこれが最新で最高のものになるとよいのですが。