※写真をクリックすると、動画の再生が始まります。
診断時:57歳
インタビュー時:60歳(2008年2月)
診断当時は、企業の管理職として多忙な日々を送っていた。妻との間に子どもが3人。首都圏在住。吐き気、足のしびれ、腰痛など、2年近く体調不良を訴えて複数の医療機関を受診したが診断がつかず、2005年にようやく前立腺がん(ステージIV)の診断を受けた。ホルモン療法にて体調が改善したが、2年余りで再びPSA数値が上昇しつつある。
語りの内容
大事なのはどうも、いろいろ勉強した、自分なりに勉強した中でいうと、運動すること、それから休養することですね。睡眠時間はもちろん大切だと、私は、これはとても問題がありました。睡眠の取り方が。えっと、夜遅くまで起きているタイプだったんですね。まあ頑張り屋っていうこともあったし、非常にいろんな情報を自分が求め、インターネットを見たりとかっていうこともあって、夜型の生活パターンになっちゃっていました。
ところが、現在、特にそうですね。もう真夜中までいろんな情報が、興味を引くようなものがいっぱいあるし。その気になれば、その娯楽的なことだけではなくてね、まあ勉強の場もインターネットで調べてったら、もう際限がないわけですよね。で、日常生活そういうふうに非常に悪い方向に、ある意味では、行っていると思うので、そういった中でうっかりすると、そういうパターンになっちゃってたわけですね。それをね、直すのがとても大変ですね。今でも直りきれてない、実は恥ずかしながら。
大事な、何をどうするとかって、さっき自分で決めて、そうやって、まあ何か10時から、えーと、2時、午前2時までの間が、細胞が再生される、ね、体のバランスがその元に戻る一番大事な時間帯らしい、っていうことが分かりました。その、どうせ睡眠するんなら、そこに睡眠時間を合わせることが、ホルモンバランスも含めて免疫力を高めることだって、いうことのようですね。それがね、案外できないんですよ。なかなかね。うーん。で、これはもう最後は自分の問題だから、指導があろうとなかろうと、することなんでしょうけども。でも、例えばそういう睡眠、「何時に寝てますか」ということも含めてね、もちろん先生からの、あるいは医療でかかわった方からもね、「それは見直してください」みたいな話は何もないわけですよね。
当たり前の話っていえば、当たり前の話かも分かんないけど、もうそういったことはやっぱり情報として、ごく目に、ポンっとこうやっぱり見られる状態にこうなっていてほしいなと、情報提供で。で、見直せるような、そのシートでもいいですけどね。何かこう簡単にチェックできるようなシート、評価をして、直さなきゃいけないんですよって、自ら気付くようなね、そんなワークシートみたいなものを提供、あの、どこかサイトで提供していただけたらね、ありがたいと思いますし、大事なことだと思いますね。日常生活の中で、なかなか直すのが大変なんですね、うーん。でも、それを、それこそ今で言えばね、心理療法でいうとコーチング。コーチングが必要なぐらい、生活習慣になっちゃっているとね、抜けきれない部分が、そういう意味でサポートが本当はあったらいいというふうに思っています。
インタビュー02
- がんだとわかる約2年前から胃のむかつきなど、身体からのメッセージに気づいてはいたが、どの病院でも異常は見つからなかった
- 症状はひどくなり、しびれや痛みも出てきて、会社に行けなくなるほどだったのに、どの病院でも「わからない」と言われてしまう
- 直腸診を受けた後に、生検をしないと確定診断は出来ないけれど、触った感じで表情が厳しい、立派ながんだと言われた
- 担当していた心理学の研修を通じて幸か不幸か、自分にとって大切なものが何かよくわかっていたので、気持ちを切り替えるようにした
- 告知を聞いたときは一人だった。家族は後から医師に呼ばれて診断を聞いたが、家内がとても明るかったので気持ちは楽だった
- 5年生存率10%という数値は統計にすぎない。その10%に入ればいいと自分は受け止めた。だけど、こうした告知の仕方はいかがなものかと思う
- 言い出しにくかったが、フィーリングの合う医師に主治医を替わってもらった。自分の考える治療法や話を聞いてくれる医師を選ぶことが大切だと思う
- 自分の場合は病期がステージ4で、手術や放射線療法はできないので、がんの勢いを落とすためにホルモン療法を使った
- ホルモン療法で胸が出て女性のようになり、ジムで裸になってシャワーを浴びるときに男性の目が気になり、プールにも行きづらい
- 統合医療の医師に第二の主治医としていろいろ相談している。いつも触診があり、話をよく聞いてくれるのが素晴らしい
- 再燃してPSAが100を超え、そのデータの重みから気持ちも重くなるけれど、家族が笑顔になるように助けてくれる
- 再燃状態にあるけれど、骨折に気をつけながら慎重に体を鍛え、数値が高くても元気でやっている仲間の存在を支えに頑張ろうと思う
- 末期の患者にとっては食事療法はたくさんあって迷うし、作る人にも負担がかかるので、がん患者のためのレシピ集があったらいいと思う
- 午後10時から午前2時までの細胞が再生される時間帯に睡眠をとることで免疫力が高まるというが、もともと夜型なので直すのが難しい
- ママチャリをマウンテンバイクに乗り換えて、近所の公園のグラウンドを走って鍛えている。運動すれば筋肉もつくし達成感が得られる
- 免疫細胞療法を受けてみたいが、ワンクール100万以上かかる。家族に何も残せないのに、わずかなお金すら自分のために使わせるのは、と悩む
- 進行がんの場合は特に、患者サポートの一つとして、経済的なアドバイスが出来る専門家が医療チームにいてくれるといいと思う
- 中小企業だったため休職期間が短く、退職後は手当を受け取れなくなった。末期がんで、闘病が長く続くような場合には社会的にサポートしてほしい
- ホルモン療法が著効した時期、パートででも仕事に戻りたかったので復職を職場に交渉したが、辞めて欲しいと断られた
- NPOの仕事を一旦は辞めたが、周りの支えがあったのと、キャリアコンサルタントとして成長し続けたいという思いから再開した
- 末期がんの診断をきっかけに、家族との時間を大事にしようと思った。幸い前立腺がんは時間があるため濃密な時間を過ごすことができている
- 病状と年齢のこともあって、夫婦関係(性生活)は棚上げになっているが、時間を共有することを目的に結婚したのだし、別にどうっていうことはない
- 同居中の実の両親が、たまたま不在で一緒に医師の説明を聞けず、後から聞くことになり、「あの時は随分疎外感を味わった」と言われてしまった
- 子どもには財産は残せないが、今、自分が幸せだということを伝えたい。恰好よくはないが、悩みながらも明るく生きる自分の姿が、唯一残せるものだと思う
- 末期がんであっても、捨てたものじゃない。幸せになる種はたくさんある。気持ちを切り替えることが大切だと思う