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診断時:63歳
インタビュー時:71歳(2008年12月)
近畿地方在住で、妻と母の3人暮らし。2000年、妻に勧められて受診した人間ドックで大腸がんと前立腺がんが同時に見つかった。大腸がんの術後3ヵ月で前立腺全摘除術を受けた。2004年7月、リンパ浮腫を発症。病院では情報が得られず、リンパ浮腫と分かるまで、非常につらい思いをした。子どもや親戚がインターネットを通じて、リンパ浮腫の患者会を探してくれ、そこでたくさんのアドバイスをもらい、とても救われた。
語りの内容
家内がよ、そのー、あなー、「人間ドックを受けよ」って。それが、僕、もう達者であったんでね、もう「そんなもん、受けやらんでもええ」って言うちあったんよ。ほうやけど、家内が「もう、そんなこと言わんと、もう受けてきてよ」っちって、怒られもて行ったんで、ほんまに家内にはもう死ぬまで頭が上がらんっていうか(笑)。命を救われたっていうか、もう達者、自分がいっこも、あのー、体、悪なかったような感じやったんでね、もう2年も3年も放っちあったら、まあ、あのー、手遅れていうことになったん違うかなと思って、もう死ぬまで家内には頭が上がらんと思てんのやけど(笑)。ほうやけに、まあ、助かった命を、まあ、もらったっていう、家内にもらったっていう気持ちでいっぱいやけどね、ええ
―― 奥さまに命を救われたところもあるし。ご自身で(リンパ浮腫の)マッサージ頑張られて、時々はそういう釣りとか、ご趣味のことで楽しみも見つけてらっしゃって。
それは、ほんまに感謝感謝の毎日を送ってんのやけど(笑)。
―― そういう奥さまに対する感謝の心っていうのが、ある意味、病気をきっかけにしてっていうのがあるんですかね?
うん、まあ、うん、まあ、そういうことがやっぱり、そのー、夫婦の何がやっぱり、余計、こう近付いたっていう。そら、家内はどう思ちあったか知らんでね(笑)。ほうやけども、僕自体は、あのー、やっぱりありがたいなあって。やっぱり、あなー、自分の近くにいてる人をやっぱり大事にせないかんなっちう気持ちは常に持ってんのやけどね。それが態度に出てあるか出てないか、相手には分からんかも分からんけど(笑)
インタビュー41
- 精密検査の前にがんと言われて、検査の結果やっぱりがんと言われた。隠さないでがんと言ってくれたので落ち着いた
- 手術でインポテンツになるので夫婦で話し合うように言われた。ホルモン治療もあると言われたが、手術で取ってもらうことにした
- 退院後、尿が漏れるので、医師に理由を尋ねたところ、前立腺を取るとき近くの筋肉に触れたためと言われた。自分の場合、尿漏れが治るまで3年ほどかかった
- 手術のときには説明がなく、足が腫れたときは転移したかと思い、びっくりしたが、家族がインターネットで調べてくれてリンパ浮腫だと分かった
- リンパ浮腫について事前に説明がなかったことを疑問に感じたが、医師はリンパ浮腫に関心がなく、がんが治ればいいと思っているような印象を受けた
- 患者会の講習でマッサージの仕方を教わり、現在も一日2回30-40分ほど続けている。1回より2回した方がいいようだ
- 講習会でリンパ浮腫を患っている患者仲間と交流したことで、色んな人がいることがわかり、救われたと思う
- 蜂窩織炎はばい菌が入って起こるが、疲れたりすると出やすい気がする。そういうときは抗生物質を飲まないと治らない
- 旅行では、風呂上がりにマッサージをしたり、ちょっと出かけるときにもストッキングを履くようにしているが、人目が気になったりおっくうに感じることもある
- ストッキングはきついものと緩いものの2種類持っていて、ちょっと出かけるときと良く動くときとか、用途で履き分けている。きついものは汗をかくほど履きにくい
- 趣味の釣りに出かけるために、マッサージを一生懸命する、励みにしている。だんだん年をとっていつまでケアをできるか不安になることもある
- 浮腫のケアのために必要な矯正ストッキングは2万円以上と高額で、およそ6ヶ月で交換しなければならない。保険が利くようになって助かった
- 妻に「人間ドックを受けて」と促され、がんが見つかった。妻に命を救われて感謝している。病気をきっかけに夫婦の距離が近づいたと思う