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診断時:47歳
インタビュー時:63歳(2008年10月)
九州地方在住。1992年の夏、進行した前立腺がんと診断された。当時は、単身赴任中だったため、家族のいる故郷に戻って、治療を受けながら58歳まで仕事を続けた。最初は、家族にだけ、がんであることが告げられていた。ホルモン療法、化学療法、放射線療法、尿路変更術、緩和治療を受け、現在に至っている。診断当時小中学生だった子どもたちは、現在独立し、夫婦二人暮らし。
語りの内容
そのあとに、また出血が、今度は出血が、血尿が出まして、で、血尿が出たんです。出て、今度は一応、止血剤とかいろんな…試したんですが、1ヶ月以上止まりませんでした。その後一応、検査しまして、もうあとは、どうせ、腎臓のほうにがんが大きくなってふさがってしまったら、あのー、…(尿が流れるように)尿管(※尿道カテーテル)の先頭を、膀胱まで入れないかんということと、あとは、前立腺が今、約面積として20倍大きくなっています。そうしたときに、膀胱のほうの出口と入口をふさいでしまって、尿が、逆…ま、逆流といいますか、こう、腸…体の中を、毒素が回って、腎臓とかいろんな、あの、そういう病気をおこすと。そうなったら、もう駄目ということで、一応、選択肢として、尿路変更という手術をいたしまして、尿路変更していっときはよかったです。
――尿路変更の手術について、少し教えてくださいますか? どこにどういうふうに管が入っているとか。
はい。尿路を変更というのは、腎臓から膀胱につながっている尿管を膀胱んとこで切ります。それを、今度は背中のほうに、その尿管が通っていますんで、それをこっちヘソのほうですね、正面の方に引っ張って持ってきます、2本とも。それで、そこに、小さな管が通っていまして、穴が開いています。そこに、ステントというて、管を入れて、そこから尿が出ます。だから、尿路変更というのは、膀胱に(尿が)入っていません。
で今現在、尿、尿としては、腎臓のほうの、ほうとしては、異常もないし、きれいなもんと言っていました。で、この前自分で、ま、パットと言いますけども、尿がたまる袋、パットと言いますけども。それを交換するときに、やっぱりどうしても、まあ、素人だったもんで、慣れてなかったもんで、漏れたせいか、そのアンモニアですね、尿というのは。アンモニアのせいで、皮膚がただれて、ちょっと痛かったんですけども。うん、でも自分で、何もかもできなきゃならんということで、今、自分で交換、マスターできています。で、そうですね、一晩で、約500ccですか。尿が貯まりますけども、その袋の中は、あの、ま、100ccも貯まったらパンクしますんで、なるべくは、その袋から管を通して、大きな袋に入れることになっています。
――普段っていうのは、その小さい袋のまんま?
そうです。それで、あの、小さい袋が一つありまして、今度、またどっか遠出とかいうときには、その袋から今度は、足につけるものがあります。まだそれは、そういう遠出したこともないし、してませんけども。それやったならば、約、そこの4時間5時間は、もてるらしいです。今は、もう2時間もたてば、その腎臓からも、尿が袋に貯まって、2時間に1回はもうそれを排出せんことには、えーと、パンクして周りから漏れるっていうことですね。でもそれは、自分なりに大体、勘で分かります。
――じゃ、重みとかを感じるんですか?
そうですね。で、やっぱし、1日の出る、尿が出る時間っていうのは、もう大体は、自分なりに分かります。
インタビュー31
- 16年前診断を受けたとき、自分には良性だと伝えられていたが、家族には余命5,6年と告げられていた。最初の入院のときは家族・親戚全員が集まった
- 最初は2週間入院した。退院後、髪の毛が抜け始め、最後は剃ることにした。1年半治療したが、PSAが下がらなくなり、抗がん剤を中止した
- 診断から14年目に血尿が出て抗がん剤を始めたが、1年半で医師から「もう打つ手がない」と言われ、緩和ケアを選択した
- 前立腺の大きさが20倍になり、尿路(※)に障害が出て、痛みと血尿が止まらないので、尿路変更術をうけ、膀胱に尿が溜まらないようにした
- 尿路変更術を受けた後しばらくして前立腺から出血するようになり、今は週に1回輸血を受けている。それでも排尿の痛みを取るためには手術しかなかったと思う
- 58歳でリストラされて60歳で年金の半額をもらえるようになるまで、長男の援助をもらっていた。その2年間が一番苦しかった
- 妻とはいろいろ口げんかもしたが、そんなときに小学生だった娘が「好きで病気になったのではない」と言ってくれたのが嬉しかった。この夏、その娘に子供が生まれた
- 自分が入退院を繰り返し、将来的な収入がないため、息子は進学をあきらめて就職を、娘は奨学金で専門学校へ進んだ