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診断時:57歳
インタビュー時:60歳(2008年2月)
診断当時は、企業の管理職として多忙な日々を送っていた。妻との間に子どもが3人。首都圏在住。吐き気、足のしびれ、腰痛など、2年近く体調不良を訴えて複数の医療機関を受診したが診断がつかず、2005年にようやく前立腺がん(ステージIV)の診断を受けた。ホルモン療法にて体調が改善したが、2年余りで再びPSA数値が上昇しつつある。
語りの内容
実はその自分が自己治癒力を高めるという意味で言うと、実は有名なまあその、えーと、統合療法、統合医療を追及されている有名な、もうがんの世界では有名な先生がいらっしゃいます。
その先生のところに、えっと、実は自分はその気功をやるとかっていう流れの中で、その先生のお名前は前から存じていたので、まあ自分が治すというね、考え方の延長線上にある考えと一緒だというふうに思ったので、その先生のところに早い段階で行きました。その先生とお会いできる機会を、ありましたので、実はそのそれがセカンドオピニオンじゃなくて、まあ第二の主治医として、えっと、ずっとサポートしていただいています。
なので、心配になると、西洋医学的な方法でやっていることも相談をしています。うん。基本はその先生も西洋医学でおやりになっていますので。安心できるのはね、泌尿器科という性格上からかも分かんないけど、行ってもいつも血液検査だけですね。(主治医の)先生、決して、まあ一生懸命やってくださっていますが、その第二の主治医、一生懸命話も聞いてくださり、にこやかに応対してくださる。それでもう素晴らしいです。
でもね、パソコンに向かいながら、今どきの治療ってそうですね。血液データを診ながらですね、だから、えっと、顔を、まあ顔色ぐらい診てくださっているね、もちろん。にこやかにあいさつしてくれるわけだから。ちゃんと診てくださってますよ。でも、(泌尿器科では)いわゆる触診とかないわけですよね。舌、舌を診るとかっていうのはないです。でも、それは、もともとは外科の先生なんですけどね、有名な病院の外科部長をされた先生、経験もある先生ですけども、内科もご覧になるので、行くといつもまず触診から始まりますね。
…おなかもちゃんと「じゃあ、横になってください」と言って、こうやっておなかをあたって診てくださるし。昔のお医者さまのおやりになる、まあ年配は年配なんですけどね。安心ですよね。やっぱり、人間として診てくれているっていう気が。いや、あの、主治医の先生がそうじゃないっていうことじゃないんですけど、泌尿器科の先生は診ないんですね。
インタビュー02
- がんだとわかる約2年前から胃のむかつきなど、身体からのメッセージに気づいてはいたが、どの病院でも異常は見つからなかった
- 症状はひどくなり、しびれや痛みも出てきて、会社に行けなくなるほどだったのに、どの病院でも「わからない」と言われてしまう
- 直腸診を受けた後に、生検をしないと確定診断は出来ないけれど、触った感じで表情が厳しい、立派ながんだと言われた
- 担当していた心理学の研修を通じて幸か不幸か、自分にとって大切なものが何かよくわかっていたので、気持ちを切り替えるようにした
- 告知を聞いたときは一人だった。家族は後から医師に呼ばれて診断を聞いたが、家内がとても明るかったので気持ちは楽だった
- 5年生存率10%という数値は統計にすぎない。その10%に入ればいいと自分は受け止めた。だけど、こうした告知の仕方はいかがなものかと思う
- 言い出しにくかったが、フィーリングの合う医師に主治医を替わってもらった。自分の考える治療法や話を聞いてくれる医師を選ぶことが大切だと思う
- 自分の場合は病期がステージ4で、手術や放射線療法はできないので、がんの勢いを落とすためにホルモン療法を使った
- ホルモン療法で胸が出て女性のようになり、ジムで裸になってシャワーを浴びるときに男性の目が気になり、プールにも行きづらい
- 統合医療の医師に第二の主治医としていろいろ相談している。いつも触診があり、話をよく聞いてくれるのが素晴らしい
- 再燃してPSAが100を超え、そのデータの重みから気持ちも重くなるけれど、家族が笑顔になるように助けてくれる
- 再燃状態にあるけれど、骨折に気をつけながら慎重に体を鍛え、数値が高くても元気でやっている仲間の存在を支えに頑張ろうと思う
- 末期の患者にとっては食事療法はたくさんあって迷うし、作る人にも負担がかかるので、がん患者のためのレシピ集があったらいいと思う
- 午後10時から午前2時までの細胞が再生される時間帯に睡眠をとることで免疫力が高まるというが、もともと夜型なので直すのが難しい
- ママチャリをマウンテンバイクに乗り換えて、近所の公園のグラウンドを走って鍛えている。運動すれば筋肉もつくし達成感が得られる
- 免疫細胞療法を受けてみたいが、ワンクール100万以上かかる。家族に何も残せないのに、わずかなお金すら自分のために使わせるのは、と悩む
- 進行がんの場合は特に、患者サポートの一つとして、経済的なアドバイスが出来る専門家が医療チームにいてくれるといいと思う
- 中小企業だったため休職期間が短く、退職後は手当を受け取れなくなった。末期がんで、闘病が長く続くような場合には社会的にサポートしてほしい
- ホルモン療法が著効した時期、パートででも仕事に戻りたかったので復職を職場に交渉したが、辞めて欲しいと断られた
- NPOの仕事を一旦は辞めたが、周りの支えがあったのと、キャリアコンサルタントとして成長し続けたいという思いから再開した
- 末期がんの診断をきっかけに、家族との時間を大事にしようと思った。幸い前立腺がんは時間があるため濃密な時間を過ごすことができている
- 病状と年齢のこともあって、夫婦関係(性生活)は棚上げになっているが、時間を共有することを目的に結婚したのだし、別にどうっていうことはない
- 同居中の実の両親が、たまたま不在で一緒に医師の説明を聞けず、後から聞くことになり、「あの時は随分疎外感を味わった」と言われてしまった
- 子どもには財産は残せないが、今、自分が幸せだということを伝えたい。恰好よくはないが、悩みながらも明るく生きる自分の姿が、唯一残せるものだと思う
- 末期がんであっても、捨てたものじゃない。幸せになる種はたくさんある。気持ちを切り替えることが大切だと思う