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診断時:62歳
インタビュー時:71歳(2008年10月)
首都圏在住で妻と子どもとの4人暮らし。別の病気を疑って受診したがんセンターで、軽い気持ちで受けたPSA検査の値が高く、定期的に通院。4年後がんが発見された。高線量率組織内照射を受けるが再発。渡米して冷凍療法を受けた。それから4年が経過した今、徐々にPSA値が上がり始め、次をどうするか考えている。統合医療の医師にもかかり、免疫力を高めることを意識して代替療法を取り入れ、趣味のダンスを楽しんでいる。
語りの内容
クライオ自体はね、その日だけで終わっちゃうんです。その日で終わりなんです。で、2時間ぐらい経って、はっと思ったら目、覚めたんですね。すると周りに医者がいて看護師がいてうちのワイフがいて、えー、ずっとベッドの周りを取り囲んでいて。それで、やっと気が付いて、あ、もう終わったんだって思ったんですけども。で、あと1時間ぐらい、まあそのまま、あの、なんて言いますか、休んで。歩いても歩けるし、おしっこもちゃんと出るというのを確かめた上で、あの、退院―退院ってことはないですよね、入院したわけじゃないから―病院から出られたと。
あの手順はね、最初にやった内部照射とほぼ同じですよ。要するにあの、前立腺に、管を通して、そこにあの、急速に冷凍する液体、液体じゃないわ、気体ですね、アルゴンガスみたいなやつを流す。流すと、ばーっと凍りついちゃうわけですよ。マイナス160度ぐらいって言ってましたかね。それを5分おきぐらいに2回やったっつったかな。医者はそう説明してました。…要するに尿道も一緒に凍らせちゃあまずいわけです。尿道って大切でしょ、おしっこの出る管ですから。それも一緒に凍っちゃっちゃあまずいわけですよ。だから尿道にはね、あの、別にこう、プラスティックのパイプを通して、その中にあの、お湯を通しているんです。お湯を循環させてる…凍らないように。
インタビュー30
- 肺がんを疑ってがんセンターの呼吸器科を受診したとき、ふと思い立って隣の泌尿器科でPSA検査を受けたら、値が高かったので定期的に受け始めた
- 医師から治療法を示され「どれでも妥当だから選んでください」と言われて困ってしまった
- どの病院がいいか分からなかったので、たまたま目にした本の新聞広告で見つけた医師にセカンド・オピニオンを受けに行ってみた
- 高線量率組織内照射法を臨床試験として受けた。放射線を直接当てるので、副作用の心配も少ない画期的な方法だと聞き、受けることにした
- HDRは治療自体に苦痛がなかったので、こんなので治るのかと不安だった。3年後PSAが上がり始めてしまい、再発と判断せざるを得なくなった
- 放射線治療後にPSA再発したため、クライオセラピーの検討を開始。骨シンチで転移が認められなかったので、渡米して治療を受けることにした
- 先に放射線をかけていて選択肢が限られてしまったため、クライオセラピーを選んだが、4年しか持たなかった
- クライオセラピーは全身麻酔で1時間程度の日帰り手術だった
- クライオセラピーの施術後1週間は尿道カテーテルと尿を溜める袋をつけたままで過ごしたが、痛みはなかった
- クライオの後1週間ほどで血尿は収まったが、日本に帰国してから尿が漏れるようになり、4年経っても治らない
- アメリカの病院で受けたクライオは治療費だけで300万円、ホテル代や航空運賃を含めると360万円ぐらいかかった
- 放射線治療後にPSA値が7.5まで上がり、主治医は再発とは言わなかったが、何かしなければと言われ、米国で冷凍療法を受けることにした
- 再発を確認するためだけに生検を受けるのは嫌だ。医師は絶対にありえないと言うが、生検は転移のリスクを高めると自分では思っている
- 精神的な強さがないとがんは治らない。病気のことばかり考えているのではなく、やりたいものを探して精力をつぎ込むほうがいい
- 自分の病気が子どもたちに、親にも寿命があることを認識させ、精神的な自立を促すきっかけになったと思う
- 70歳を超えているが、まだ粘りたい。前立腺がんが生まれて初めての大病なので勝ちたい、1日でもいいから長生きしたいと思っている