診断時:83歳
インタビュー時:85歳(2008年6月)
首都圏在住の医師。70歳前後に前立腺肥大で経膀胱的前立腺切除術を受けた後、80代に入って肺がんと大腸がんが見つかったが切除術を受けて完治。2006年に前立腺がんの診断を受けたときも、高齢のため経過観察か保存療法を勧められたが、がん細胞が残っているのはイヤなので手術を選択。術後は尿漏れの心配からおむつを着用しているが、特に困ったことはなく、今も透析クリニックの院長として多忙な日々を過ごしている。
語りの内容
気を付けてることというのは、やっぱり、一定の時間が来たら、お手洗いに行くことですね。それで、なるべく漏らさないようにといいますか、おむつになるべくおしっこをためないようにしないと、やっぱりあふれちゃったら困りますから。水の制限は別にしてません。普段はしてないんですが、時間が来たらお手洗いに行くようにして、そうすると、まあ、たくさんは出なくても、一応膀胱をある程度空にしておくということだけは気を付けています。だけども、おむつをしているという安心感がありますから、忘れたら忘れたでいいやと、こういうふうには思っていますし、そんなに神経質にはなりません。
それから、水をあんまり制限しますと、これは脱水になったり、何か特に高齢者の場合は多いですので、おむつをしているという安心感のほうが、あの、水を飲む、尿が多くなるという不安よりも大きいように思っていただいて、おむつを1つ余分に用意しておいて、いっぱいになったら取り換えりゃいいやと、いうようなつもりでおられればいいんだろうと思います。だから、私も、かばんの中にはいつも代わりのおむつは用意してあります。で、職場にも1つ別に置いてあります。ただ、それを使ったことはないんですが、そうすると、安心しておりますから、それから、もし万一の場合を考えて、パンツとズボン下というのも一緒にかばんの中に入れることもありましたが、今はよほどのときでなければ持ちません。それは、少し荷物が多くなるだけですけれど、そんなに重くありませんから、せいぜい200~300グラムぐらいのの重さで、あまり気にしてはいません。
インタビュー12
- 生検は確率の問題。世の中に100%という化け物はなく、運と思わなければしょうがない。あきらめるのも人生だ(テキストのみ)
- 医師として自分の患者には病気と仲良くと話していたけれど、自分ががんになったときは、がんと仲良くするのは性に合わなかったので手術を希望した(テキストのみ)
- 腹圧が上がると尿漏れが起こるので、咳とかくしゃみをなるべくしないようにしている
- 高齢者だから水は制限しない方がよいので、特に制限していない。漏れたときの下着や衣服の換えを持ったり、一定の時間でお手洗いに行くようにしている(テキストのみ)
- 忙しいから、そんなにしょっちゅう気にしてはいられないが、電車の中とかで思い出したら、括約筋を鍛える運動をするようにしている
- がんを全部取ってもらいたかった。手術にあたって勃起神経を切ると聞き、前立腺は前が立つ腺だから、取れば勃起しないのは当然でしょうと冗談で返した(テキストのみ)
- 尿漏れは不便だが、勃起しなくなったことを不便に思ったことはない。 女性を美しいと思えるのでプラトニックラブのようだ
- 全摘 術後、継続的にPSAを測っている。症状はなくとも値が高くなったら注意が必要なので、2~3ヶ月に1回測ることは大事だと思う(テキストのみ)
- 若い頃巡り会ったメーテルリンク「青い鳥」という本が、今がんと向き合う心の支えになっているのかもしれない(テキストのみ)