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診断時:75歳
インタビュー時:79歳(2016年3月)
甲信越地方在住。退職前は公務員として勤務。定期健康診断でPSAの上昇を指摘され、娘に勧められて近隣病院で生検を受け、がんが見つかった。全摘手術を選択し、経過は順調だったが、術後後遺症の尿漏れがひどく、2年間改善のための様々な工夫を試みたが、居合道の稽古や入浴など生活に大きな支障が出て、半分ノイローゼのような状態に。そんな折、2012年春に保険適用になった人工尿道括約筋手術を紹介された。術後は尿漏れが完全になくなった訳ではないが、自分なりに工夫して、尿漏れに煩わされることはほとんどなくなった。前立腺がんの経過も安定している。
語りの内容
――ちなみにあの、尿漏れがひどかったときには、できなかったことっていうと、思い浮かぶものってなにかありますか。逆に減って…。
できなかったことは、お風呂に入らなかったこと。まあ、ゆっくりね、沈まなかったことと。うん、やっぱりパッドの交換ですよね。
――その、お出かけをするときに、その、どこか遠方出かけて。
もうパッドをね、必ず持参していかなきゃ、あの、いけないんですよ、ええ。
――ですよね、今はもう全然。必要がない。
ええ。もう常に自分の中に、もう、かばんを常に持ってますから、その中にパッド入れて、それで動いている。んで、終わったらまた、女房が(笑)かたまって持ってるから、3つか4つ持ってるんですよ。それまた一つもらって入れとくと、ええ。なにしろそれが一番、あの、気がかりでしたね 。
これはね、もう外出してもね、トイレに行きっきりですよ。まああの、どっか、この辺の、あの、なんていうんですか、あの。
「(同席者)イオンモールとかありますよね、うん。」
ああいうところへ行って、4~5回は行くね、2~3時間の間に。
――2~3時間の間に。
3時間ぐらいで、ええ。
――4~5回行かれる。
ええ。嫌になりますよ。だからまあ、先生 にもよく言うんだけども。先生、地獄から天国に来たようなもんです。だけど、それが慣れると当たり前になっちゃうんだよね、人間っていうのは。だから、もっといいことないのかなっていうふうに考えてんだけど、ね、うん 。
インタビュー52
- 重い尿漏れがあり、骨盤底筋体操を毎日座禅するときに200回やっていたが、尿漏れは全く改善されなかった
- 妻のアイディアで女性用ガードルを使い、何とか居合道の稽古はできるようになったが、尿が陰部にくっつく感覚が嫌で、2年も経つとノイローゼ一歩手前になった
- 手術後は痛みも何もなかったが、埋め込まれた人工物に触れる違和感が1ヶ月はぬぐえなかった
- 人工尿道括約筋を装着して1ヶ月は、体に慣らす時間が必要だったようで、その間は漏れっぱなしの状態。その後、機械が使えるようになると、パッドは要らなくなった
- 尿漏れがひどかった時はお風呂にゆっくりつかれなかったし、買い物に出ると2~3時間に4~5回トイレに行かなければならなかった。手術後の今は地獄から天国に来たようだ
- 手術後も100%回復というわけではなく、排尿後の尿滴下はなくならない。尿を出し切るために色々工夫をしているが、骨盤底筋体操の効果をその中で初めて感じた