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診断時:60歳
インタビュー時:60歳(2008年5月)
東海地方で妻と2人暮らし。定年を迎え、海外シニアボランティアになるために2007年秋に受けた健康診断でPSA値が9.1と出た。地元の開業医では3ヵ月後に再度受診といわれたが、不安になって泌尿器科の専門病院に行って生検を受けたところ、前立腺がんと診断された。手術件数の多い病院に転院して、2008年1月に前立腺全摘術とライナックを用いた放射線療法を受けた。妻も同時期に乳がんの診断を受けている。
語りの内容
手術は全身麻酔をやりまして、約5時間かかりました。5時間っていうのは手術室に入って出てくるまでですね。で、ですけども、手術中は全身麻酔ですのでまったく何もわからない。目が覚めたときは終わっていたということで。で、今は非常に昔と違ってですね、手術が終わった後も脊椎にですね、麻酔薬をずっと送り続けるというのが付いてますので、まったく痛みは感じませんでした。ただおなかにチューブが入り、それから尿もチューブが入ってと、こういう状態でしたので、非常にベッドの上では大変でした。それからもう1つですね、全身麻酔をするときに、パイプをですね、喉に入れるんですけれど、呼吸を補助するために。それは皆さん経験するらしいんですけど、喉にパイプが当たって、喉をやられるもんですから、咳が出るんですね、終わったあと。その咳をするとおなかが非常に痛いと。その苦しみが非常に大きかったです。それから、それが終わってから、3日目、4日目から、今度便秘になりまして。便秘になって、おなかに力を入れると痛いもんですから、まあ、うまく出せない状態ということですから、そういうことで非常に便秘に苦しみまして、最終的には薬とか浣腸っていうことで、出したんですけど。そのあとは尿が出ないという現象が起きました。尿が出ないというのはこれも力が入らないのと、それからお医者さんがおっしゃるには、尿道を繋いでおりますが、そこの膨らみがあるということと、それからやはり手術をしたばっかりなもんですから、浮遊物がいっぱいあるわけですね。それが繋いだところに溜まっちゃうということで、尿が出なくなると。出なくなるとおなかがパンパンに張って、おなかも手術したあとが非常に痛いわけですね、それで。それで溜まって、仕方なくチューブを入れてもらって、出すと。これの繰り返しでしたと。ただ、運が良かったことに普通尿漏れが、皆さん起こるんですけど、私の場合は非常に少なくて、後遺症も非常に少なかったです。
――そのおなかが痛いというのは、切ったところが痛いということですよね。
はい、そうです。
――どのくらい切るんですか、おなかは?
私の場合は12、3cm切りました。別に普通にしてると何も痛くないんですけど、咳をしたり、それから便をしようとして力むとき、こういうときは痛いです。
インタビュー09
- 自覚症状もなかったし、まだ60歳だったので、前立腺がんは自分には関係ないと思っていた。PSAについても知らなかった
- PSA検診について議論されているが、低分化がんの人が2割いるのだから、ぜひ健康診断の中に入れるべきだと思う
- 超音波検査と触診を受け「様子を見よう」と言われたが、不安だったのですぐに専門医で生検を受けた。その後、転移の有無を調べる画像検査を受けた
- 生検中は麻酔をしていたので痛みはなかったが、翌日少し痛みと血尿があった。だがそんなにひどいものではなかった
- 診断時の説明では初期だったのでそうショックはなかったが、浸潤がみつかり術後の病理検査でグリーソン・スコア9と言われたときはショックだった
- 60歳で余命が長いから、再燃するリスクを考えて判断したほうがいいと医者から言われ、20年は生きたかったのでホルモン療法はやめて手術にした
- 術後に喉の痛み、便秘、傷の痛みを体験した。自分の場合は尿道をつないだ部分が腫れてカテーテルを抜いた後、尿が出なくなった
- 術後、勃起神経は全部取っているし、性的な欲望もないが、夫婦生活に影響はないと思っている
- 手術した結果、浸潤が見つかり、放射線治療(従来法)のリスクについて説明をうけ、すぐにやってほしいとお願いした
- PSA値が変動する理由をネットで調べたり聞いたりした。放射線治療後は値が下がるまでタイムラグや個人差があるのを知り、安心した