月別アーカイブ: 2025年3月

障害ナースの語り

実習に際して定められたワクチン接種ができない状態だったので、小児看護の実習だけは患者さんに触れない見学実習になった

私自身は元々病気になったのは中学生だったので、小児科で働きたいっていう気持ちがすごくあって、発達段階、ちょうど小児期っていうのが徐々に徐々に成長に合わせていろいろとできるようになっていく時期っていうときに病気になるっていうのは、精神的にも身体的にもいろんな影響があるからこそ、そこのケアができたらなっていう思いもあって、入学前から小児科で働きたいと思ってたんですけど。
実習中に体調を崩してしまったりとか、あとは、腎臓病になっていて移植をしてるので、免疫抑制剤を毎日内服しなければいけないんですけど、その関係で小児科の病院実習がちょっとできなかったんですね。免疫力が低下してるので、必要な予防接種が受けられなかったりとか、生ワクチン系っていわれるようなワクチンによって、予防接種によって受けられないものがあったりっていうのがあって。

ワクチンの接種ができなくって、免疫力が低下してるのでワクチンの接種ができないっていうことで、小児の実習だけは、外来で患者さんに触れない見学実習っていう別プログラムになったんですけど。
それ以外のところはたまたま実際実習先が決まってからいろいろと、実習に行けないことが分かったりとかしたんですね。結構早い段階で実習先のグループだったりとか、行く病院っていうのは決まったんですけど、決まってから実習先で小児は行けないっていうのが決まって、他の小児科もそうだったっていうのが分かったんですけど。
じゃあもう一箇所、ほんとは自分の行く病院じゃない病院で、ワクチンができない方は受け入れられませんっていう病院はあったんですけど、たまたま私の行く実習予定に入ってなかったので(病院は変えず、小児科の実習だけ見学実習になった)。
他の実習は他のメンバーとおんなじように、病院内で実習をすることができました。

障害ナースの語り

座学ではノートテイクをつけたがそれだけでは足りず手話通訳も依頼した。医療用語がわかる手話通訳は分かりやすかった(手話)

1年の最初に、大学院生に一緒に授業に入ってもらいノートテイクで情報収集をして助けてもらいました。その次にそれだけでは足りないので手話通訳を依頼して。手話通訳もいろんなところに依頼をしました。
看護師と手話通訳士を持っている方だと、看護の専門の知識を持っていて、また病院の中で注意しなきゃいけないこと、例えば予防面とか衛生面とか、どこを触っちゃいけないみたいなところも分かっている方だったので、とてもスムーズにいきました。
看護師ではないけれども幅広く活動されている方、手話通訳の方でもいろいろ依頼をしました。またパソコンを持ってきてもらって病院の中で持ち歩くのもできないので、ノートテイクか手話通訳のどちらかを使って勉強しました。手話通訳の場合だと、看護師資格を持っている、持っていない、さまざまなんですが、とにかくいろんな方法で1~2年のときは試しに実習をこなしました。
その結果、自分にとってはやっぱり看護師資格を持っている手話通訳というのがベストだな、専門用語とか薬剤の名前等も、言葉をきちっと理解して伝えてくれる通訳なので、例えば、咳嗽(がいそう)っていう言葉、せきですけど、専門的には咳嗽っていいますよね。
NGチューブとか、普通の通訳で医療用語が分からない場合には表現できないけれども、言葉の意味が何かって、看護師の人だと分かっているので、咳嗽っていう言葉を聞いたら、せきって手話で表現したりNGチューブと言えば、その胃管というのも手話で表してくれる。なので、とても分かりやすく伝わってきました。
3年生の半年間は、看護師資格を持つ通訳に来てもらって、ずっと一緒に実習をしました、という経過です。

障害ナースの語り

実習中は一人専属の教員についてもらい、患者のおむつ交換や全身清拭、移乗など、自分ができないケアを補助してもらっていた

(バイクの事故で、休学している時から)両親が、僕が入院してるときに、やっぱ僕がその看護を続けたいって言っていた思いを酌んでくれて、学校のほうの学科長に直接談義をしてくれてたんで…、そうです。最初は大学の先生たち側からは、いや、もう難しいから転科をしたほうがいいと。ちょっとさすがに車椅子で実習はっていう話だったんです。
ただ父が、僕がすごいやる気があるってことと、あと、看護師免許の剥奪というか、駄目な理由には肢体まひは書いていない(※)っていうのを言ってくださって。
確かに知覚まひ系の、目が見えない、耳聞こえないとかはあるけど、手足が使えないことに対しての文言は書いてないっていうことを言ってくださって、で、先生が、じゃあ、こちら側でもできるだけ頑張って配慮をしながら考えてみますっていうことで、その次の年ですね、けがした次の年、僕1個留年、休学して1個下の学年から入ることになったんですけど、入る(復学する)ことになりました。
やっぱり大学側も初めての経験で、学科長の先生方もやっぱ初めてで、だからどうしていいかがちょっとまだお互い分かってないような感じだったんですけど。
その中でもやっぱ先生たちもいろいろと考えてくださって、実習、僕実習前にけがしたんで実習からスタートっていうかたちだったんですけど、実習のときに別の先生を1人もう専門で付けてくださいまして、その先生がずっと付いている状態で、いろいろと患者さんと関わったりケアをしたりっていうことで、僕ができないところだけを、ずっと付いてくださっている先生が少し補助をするっていうかたちで、実習のほうはさせていただきました。
実習中も記録とかは、もう全部自分でやっぱしっかりやらないといけないし、看護過程(患者さんの病態や生活を理解するための考え方)もやっぱりやらないといけない、全部自分でやらないといけない、やっぱ寝る時間も少ないしきついなって思うことがあったり。
あとは、そうですね、ずっと付いてくれてた先生がやっぱずっと一緒にいるんで、ちょっと、こう嫌だなとか思うこともあったりはしたんですけど、でもその先生が付いてくださってたおかげで僕も、す ごくいい実習ができまして、全部の実習をこなしました。
実習中というか日常生活でもなんですけど、排便のことがやっぱりすごく一番ネックになってて、多分他の脊髄損傷の方とかでも、排便の悩みっていうのはすごく大きいとは思うんですけど、実習中に漏れたらどうしようとか、何かそういうのがいろいろあって。実際に、1回か2回だけ漏れたんです。
一応でも、その話も専門っていうかずっと担当で付いてくれてた先生には漏れるかもしれないってことは伝えてあったので、漏れたときには自分で。僕は自分で片付けがちょっとできるぐらいの残存能力があるんで、自分でちょっと片付けるときに、ちょっとすみません、抜けますって言って実習抜けて片付けとかはしてたんですけど。
そういった先生たちのサポートがやっぱりしっかりとあったおかげで、在学中も特に困ったなっていうのが特になく過ごすことができました。

障害ナースの語り

特定の日の欠席が多くなることは、必要な治療ということで単位を認定された。欠席分に関しては教員に質問できる体制があった

担任の先生に相談してから、まず休みがちょっと多くなる可能性のある、単位がちょっとぎりぎりになってしまうっていうものに関しては、直接、担任の先生プラスその授業の先生にも相談をして、もしその日、授業に関しての出席日数が足りないくらい、受診に行って授業を休んでしまったとしても、私の場合はそれは、必要な治療であるっていうことで、単位を認定はしますっていう形で言ってくださって。
ただ課題だったりとかに関してはもちろん皆さんとおんなじものの課題をやってもらうので、もしかしたら授業を受けてない分、分からない部分はあるかもしれないけど、その部分はいつでも先生のところに来てくださいっていう形で、一つ、休みに関しては対応してくださいました。

障害ナースの語り

聴診器は音が大きくなる電子聴診器を使用していたが、それは大学が購入してくれて次の学生も活用できる体制を作ってくれた

看護学生になると聴診器を購入して、聴診器を使用して、学内での練習をしたり実習にも行くんですけれども、聴診器だとやっぱり聞こえがちょっと良くなくて、あまりはっきり聞こえなかったので、先生に相談したところ、音量を上げられる聴診器があるんですね。
電池を入れて機械式になっていて、自分で音量の上げ下げができる聴診器があるんですけれども、それを大学側が、大学費として購入をしてくださって、それを貸し出ししてくださって、実習中だったりとか練習ではそちらを活用して。
実は難聴がある看護学生が初めてだったみたいなんですけど、そういうようなサポートをしてくださって、逆に私のような難聴がある方が次回入ってきた人のために、いろいろと聴診器に関しても、次回も活用できるようにっていうことをしてくださいました。  

聴診器に関しては、大学で入学したらみんな統一の聴診器を大学の最初の費用に入ってる大学だったので、おんなじ聴診器をみんな配ってくださるというか、事前に購入をしてるようなところなんですけど、多分提携してる会社のほうに大学側が相談したところ、こういう聴診器もありますよっていうのでいろいろと見てくださって、その中で音量の上げ下げができるのがいいんじゃないかっていうことで、大学側で調べて購入してくださったんですね。

障害ナースの語り

本格的な実習は3年生からなので1,2年の実習はとにかく現場に出てみて、自分に合った方法を探るという目的もあった(手話)

本格的な実習は3年生ですよね。いろんな専門の高齢とか、母性とか、急性期などに行くんですが、その前に1~2年のときにも実習がありますよね。なので1~2年の実習は、もうとにかく行ってみる。自分に合った方法をどうするかを探るという目的もありました。
先生たちも、実際に実習がどうやったらスムーズにいくかっていうのを先生も分からない、私も分からないという状況の中で、一緒に考えていきましょうということを1年生のときから相談してきました。

障害ナースの語り

障害のことは入学当初大学に診断書を提出して伝えた。しかしそれが共有されておらず、出席に対する配慮がなく単位を落としかけた

大学で困ったこととかは、まず6週間に1回必ず点滴を受けなければならなくて、その点滴が必ず平日に受けないといけないんですね。なので、その日は学校を休まないといけないということなんですけど、大体、曜日が決まってるので、その曜日の授業を絶対にその6週間に1回は休んでしまうということがあります。
大学の授業なので単位というものがあるんですけど、欠席を5回してしまうと単位がもらえないんですね。その部分がすごく僕も心配で学校にそのことをお聞きしたら、配慮として通院した後の領収書、病院の領収書を提示することで、その欠席は公欠扱いにしていただけるというふうなことがありました。
ですがその公欠扱いにしてもらうまでに、僕のその持病の診断書は入学当初に提出はしていたんですけど、その病気の診断書が、僕の看護学科の先生に行き届いてなかったみたいで、最初のうちはその欠席のカウントが公欠扱いにならず、単位を落としかけてしまったということもあります。

診断書がなぜ届いていなかったかということなんですけど、まず診断書を大学の学生窓口に提出するようにと私は言われて、そこから看護学科の先生に送りますというふうに最初はお聞きしていました。
ですが、それを提出したのが4月なんですが、1年生の7月頃に体調が悪くなって欠席とか病院通院のために公欠にしてほしいというふうなことを看護学科の先生にお話ししたときに、その診断書は届いていないというふうに言われたので、学生課に確認しに行きました。そしたらその診断書が止まっていて、看護学科の教員の手元に送られていなかったというふうなことがあって、看護学科の先生には僕が病気だということを、お知らせできないでいました。
看護学科の先生にその診断書を学生課から提示してもらったときには、自分は公欠扱いになるというふうな適用になったので、そこから欠席というよりかは公欠扱いになりました。

もうほんとに正直、僕の病気の診断書なので個人情報というか、最初はほんとにちょっとびっくりして、だいじょぶかな、漏れてないかなみたいな、学校外とか他の人たちにバレてないかなっていうふうな不安はあったんですけど、学生課に確認したらここにずっととどめてあったから、ごめんねっていう感じで謝罪をされたので、僕も正直そこまで、ちょっとびっくりしましたけど、ちゃんと伝えていただいたら、それでいいかなっていうふうには思ったので、そこまでなんか深くはとがめるようなことはしませんでした。

障害ナースの語り

前の病棟はストレッチャーの搬送を自然に代ってくれたが、病棟が変わった時何も言わずにいたら、できないの?と言われた

自分ができることとできないことっていうのは、はっきり伝えるようにして。言わなくても分かってくれるなんてことは、絶対ないっていうのは、もう分かってるので。伝えればやっぱりみんな、「あ、こうやって手伝えばいいんだ」って分かってもらえれば、手伝ってもらえますし、私ができることっていう仕事は、ちゃんと任せてもらえましたし。それは、コミュニケーションがすごい大事だったなっていうのは思います。

ーー先ほど、説明しないで分かってもらえるなんてことはないっていうお話だったんですが、何かそれに関して分かるであろうというふうにご自分が感じてたけど、周囲からは分かってもらえなかったとか、そういったこうエピソードみたいなのって何かありますか。

異動したあとだったんですけれども、血液腫瘍科の病棟異動してすぐ、ストレッチャーで搬送しなきゃいけない患者さんがいて。多分その前の病棟だとそこは何も言わなくても、みんな、さすがにできないだろうと思って代わってくれてたのが、「え、できないの」って言われて。
「あ、何かできると思われるんだな」みたいなふうに思って、ちょっとはっきり、「一緒にエレベーター入れないんです」っていう話を伝えて。
ちゃんとやっぱり言わないと、(前の病棟の)泌尿器科の時は、やっぱりできないところからのスタートだったので、まあ大体できないと思われてる中で、やってみたらできたっていう積み重ねだったんですけれども。
やっぱりある程度やってきて、異動してきてっていうふうになると、あちらも何ができるかとか分からないと思うので、そうするとやっぱり、できるって思われちゃうんだなみたいな。
多分、通常の人と同じように扱ってくれてるってことなのかなって思うと、それはそれでほかのことがある程度できてるって、見えてるってことかなって思うようにしてましたけど。

障害ナースの語り

病気を隠していなかったことで、周囲の医療者からインスリンに関する質問をされるなど、自分も周囲も、学ぶ事も多かった

( 病院に勤務していたとき)糖尿病外来の専門外来を任せてもらってたので。あと整形とかもすごい勉強させてもらったし、耳鼻科、眼科とかも、やっぱり糖尿病の患者さんって多いので、いろんな分野からの情報というか。
なるほど、整形の先生はそういうふうに見てたのかとか、先生違うよ、糖尿病、こうこうこうなんよっていうのをお互い知ることができたとか、勉強することができた。
だから整形の先生とかも、耳鼻科の先生からも、「ねえねえ、これってこういうふうになってるけど、これってどうなん?」って先生に聞かれたりとか。
自分も1型糖尿病なので、内科の先生でも専門医が常時いないので、ほかの先生が、「ねえねえねえ、このインスリンってさ、ここでなんかこんなんやってるけど、この人ここで低血糖で」「多分、先生、これが多いんやないかな」っていう。
「医者じゃないから分からんよ」って言いながら、「これって、なんかどういうふうにコントロール、インスリン、使えばいいんやろう」ってなんか聞かれたりとか。「アドバイスとしては、こうでこうじゃないですかね。今度先生来られたときに聞いてみてください」みたいな感じで話をさしてもらってたので。
私も勉強になったし、ほかの勉強にもなったし、ほかの先生とのコミュニケーションにもなったし。私は病気のことを隠さずに、言っててよかったなって思うし。
スタッフの中にも、(何かこちらが食べていると)「糖尿病あるのにそんなん食べてもいいん?」って最初は言ってたけど、もう全然言わなくなりましたよね。だから、「ケーキよ」とか言うけど、好きなものは好きなときに好きなように食べるのがおいしい食べ方ですって言う。病気は関係ありませんって言って、コントロールは私がするので大丈夫ですっていうふうに言ってたので。
周りのスタッフには、本当に低血糖のときに救われたことが何回もあります。自分で何にもできなかったんで。様子がおかしいって、ちょっとそのままって椅子に座ったままだーって連れていかれて、ブドウ糖ばーって打たれたりとかしたりしたので、数回助けてもらったりとかしたので。
みんなに言っててよかったし、ありがとうって、ありがとうって。だけどほかのスタッフからしたら、患者さんの様子がおかしいっていうのは私たちにも分かんないから、あなたを通して勉強できたわって言ってくれたりとかしたので、それはすごく、よかったなっては思ってます。

障害ナースの語り

これまでの経験上、隠しきれないので入学当初に周囲に伝えたところ、心配してくれて、様々な面でサポートをしてもらった

僕は入学当初の時点で、自分が病気だということを仲のいい友達には伝えました。なぜかというと、やはり今までのその経験上、自分が病気だということを一つは隠しきれないというふうなことですね。
やはり日常生活を送ってく中で、体調が悪くなってしまったり、授業中に体調が悪くなってしまったりとかもするので、そのときに絶対、どうしたの? っていうふうに聞かれるので、もう最初に自分は病気ですというふうなことを伝えました。
その反応としては、すごく心配してくれてて、授業とか、何か自分たちにできることがあったら何でも言ってくれというふうに言っていただいて、
すごく心の支えというかになって、自分が本当に休んだり授業を休んでしまったりしたときには、その授業の資料を取っといてくれたりとか、そういうふうなことをしてくれました。

ーーご自身としては隠しきれないということで、お話をされてたってことだったんですが、具体的にはどんなふうに、ご自分のことを説明されていらっしゃるんですか。

そうですね、僕はまず自己免疫疾患ということを言って、自己免疫疾患とは何かということを、自分に現れてる症状を伝えましたね。あとは今飲んでいる薬だったり治療だったりの影響で、副作用でこういうことが出たりするかもしれないけど、そんなに心配しないでいいからというふうな感じで、
僕の中では、もう今までいろんな人に心配とか迷惑を掛けてきたので、あんまり自分が病気だっていうことによって心配とかをかけたくないんですね。なのでもう最初のうちにこういう症状がある、発疹が出たり関節が痛くなったり、胃とか腸とかおなかが痛くなったりとか、そういうことをするけど、心配ないからというふうなことを伝えました。