インタビュー時年齢:44歳(2022年6月)
障害の内容:精神障害(うつ)、発達障害(ADHD)
障害をもった年齢と状況:22歳・うつ、45歳、ADHD(注意欠陥多動性障害)
現在の職場: 地域密着型通所介護(小規模デイサービス)、看護師(機能訓練指導員の資格あり)

中部地方在住の男性。
看護師1年目で抑うつを伴う適応障害と診断とされ、休職後に復帰した後は看護助手の手伝いを行うことになり、翌年に精神科単科病院に異動し、そこで10数年勤務をした。
その後、老人保健施設や有料老人ホーム等で勤務を続け、数年前にADHDの可能性が高いと言われ認知行動療法を始めた。
現在は、就労移行・就労定着支援を受けながら介護事業所で働き、4か月目になる。

プロフィール詳細

もともと高校の友人が統合失調症になり、精神科の看護師になりたいと思って短大で看護師の資格を取り、4年制大学へ編入して保健師の資格を取った。
卒業後は付属の大学病院に就職した。しかし配属されたのは希望した精神科ではなく、ターミナルの子どももいる小児内科だった。
そこでは学校で学んだことと現場が異なることでの戸惑い(リアリティショック)など心理的な負担が大きく、就職から2ヶ月後の6月ごろから眠れなくなってしまい、その後抑うつを伴う適応障害と診断され抗うつ剤を内服開始した。
1か月休職した後同じ職場に戻ったが、その後は患者さんにかかわらないよう看護助手の手伝いをするように一方的に看護師長に言われ、その時期は辛い思いをした。

大学病院は1年で退職し、うつ病であることを伝えたうえで単科精神科病院で働き始めた。
特に職場からの配慮はなかったが、看護師等との人間関係も悪くなく、先輩スタッフからやさしく声かけをしてもらえた。
抗うつ薬を内服しながら、次の日が休みの日は眠剤を飲み、勤務と勤務の間が短いときは仮眠室で睡眠時間を確保するようにして、十数年仕事を続けた。
その後、精神科に長くいると看護技術がおろそかになるように感じ、老人保健施設に転職をした。
だが2交代の16時間勤務で体がもたず、その後は、看護協会の紹介で、日勤のみで夜はオンコール(夜間電話待機)という小規模デイサービス併設の住宅型有料老人ホームで仕事を続けた。

その頃、国立病院時代の同僚にADHDの傾向があるのではないかと言われたことがきっかけで、精神科クリニックで心理面接や心理テストなどを受け、ADHDの可能性が高いと診断された。
これまでは、自分は要領が悪いと感じることがあり、また、うつ病の薬を使っても症状が良くならないこともあって、うつ病ではなく発達障害だったのかと、自分自身について真相が分かってほっとした気分だった。

その後、同居していた、パートナーの引っ越しを機に転居し、新しく通院する病院をきめ、新規立ち上げの住宅型有料老人ホームで働き始めた。
最初、施設長だけが障害のことを知っている状態で働いていたが、しばらく経ってできないことが増えてきてしまった。
自分としては、病気や障害を伝えたことで過小評価された過去を思い出し周囲の目が怖かったが、ADHDであることを伝えたら理解してくれて、臨機応変に動く仕事や、外部や家族との調整業務などを代わってくれた。
しかし、子どもがいる看護師や准看護師である同僚は夜遅くなる業務や判断が難しい業務は行えず、それを一手に自分が担う必要があったため負担が増え、緊張して不定愁訴のような、腹痛を起こすようなことが増えてきてしまった。

そんな中、もっと自分の体調面を整えながら、身の丈に合った職場を探したいと思うようになり、精神保健福祉手帳や障害年金を取得し、就労移行支援を受けながら現在の地域密着型通所介護(デイサービス)に就職をした。
具体的には、(社協の)就労支援員と相談しながら、自己分析や職場分析、就職時の面談も最初から障害のことを伝えて配慮内容を相談したうえで仕事を始めた。
今は、勤務時間が9~16時(昼休憩1時間)の6時間勤務で、就労支援員や職場のスタッフにいつでも相談ができる体制を構築してもらったうえで働きはじめ、4か月目になる。
メンタルクリニックの心理面接で続けていた認知行動療法も習得できて、何かうまくいかないことがあっても考え方を変えることで対処できるようになり、周囲から自身が得意なパソコンのことを相談され、頼りにされるなど、自分なりに職場に役に立てているように感じている。
これまでも障害があることで患者さんや利用者さんの気持ちに共感し心理的な距離が近くなる感覚を抱くことがあった。自分の話をするとお互い打ち解けられることもあって、自分だからこそできることもあるように感じている。

今は失敗が許されないような風潮もあるが、本人にとって安心・安全で失敗しても大丈夫という雰囲気があれば、多様な看護師が働けると思う。
看護の友人から仕事の悩みを相談されると、「こんな僕でも働いているんだから」と伝えている。
障害には表も裏もあり、自分なら、相手のために頑張ろうとすることや細かいところに気づくこと、逆におおざっぱに物事を捉えることは、障害の良い面だと感じる。
今後は、こんな自分の特性やこれまでの様々な経験を活かしながら、自分らしい看護で社会に還元したい。
他の看護師や医療職、また、利用者さん・患者さんとの相互作用で成り立つというダイナミックさが看護の魅力で、これは他の仕事では味わえないとも思っている。
やりたいと思う人には、「頑張って」とは言いたくないが、まあやってみなよ、少し続けてみたらと声をかけたい。

私は: です。

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