インタビュー時年齢:30歳(2019年2月)
障害の内容:視覚障害(弱視・色盲)
学校と専攻:大学・外国語学部(2007年度入学)
関西地方出身の女性。先天性の弱視で、色盲がある。小学校は普通学校で学んだが、中高は、盲学校に通った。中高ごろからとても興味があった英語を学びたいと思い、外国語学部に進学した。3年生の海外実習では困ることがあったが、周囲にサポートされて充実した時間を過ごせた。現在は、一般企業で働いている。
プロフィール詳細
春香(はるか・仮名)さんは、先天性の弱視で、小学校は普通学校、中学・高校は盲学校で学んだ。もともとの出身は関西だが、中学まで地元の盲学校に通っていた時は同級生が2-3人しかおらず、勉強についてはかなりのんびりした雰囲気だった。大学への進学は親の意向もあって最初から決めており、学校生活に関して刺激が欲しいと思って、受験に実績のある盲学校の高等部を選んだ。大学の専攻は悩んだ末、中高の時からとても興味があった英語を学びたいと思い、高校の先生に紹介された大学のオープンキャンパスへ行って非常に魅力を感じたので、そこを受験することに決めた。
春香さんは弱視のため、文字は読めるが、顔を紙にとても近づけるので一度に目に入る文字数が非常に少ない。センター試験と大学の試験では、問題用紙の拡大と、時間延長、解答用紙をマークシートから直接書く方式に変更すること、また、問題用紙に合わせて大きな机にしてほしいということを要望して認めてもらった。
大学に対しては、入学前に、まず配慮してほしいことについて文書で申し入れをして、その後実際に高校の進路指導の先生と春香さん自身と、両親、大学の担当者で話し合いの時間を持った。自分や両親は遠慮してしまうところがあったが、高校の進路指導の先生は非常に慣れていて、とても心強かった。
授業に関しては、初回オリエンテーション後に担当の先生の所へ行き、配慮をお願いしていますと伝えるようにしていた。そうするとほとんどの教員が「ああ、あなたですか、聞いていますよ」といった反応で、細かい調整を相談できた。一つだけ、顕微鏡を使う授業に見学に行った際、自分には難しそうだと思い辞めてしまった科目がある。今思えば、教授も顕微鏡を覗かなくてもモニターで見る方法があると言っていたので、もう少し履修するために粘っても良かったかもしれないと感じている。
周囲の人に自己紹介をする機会には、自分は弱視であり、授業中支援をお願いすることがあるかもしれないこと、また一緒に資料を見る時などは非常に顔が近くなることも説明していた。
3年生になって、3週間アメリカに滞在する実習があった。それまでは比較的スムーズにやってこられたのに、例えばファストフードで食事を調達するのに見えなくて困るなど、そこでは同級生のペースについていけず、自分は手がかかる人間だったんだと少なからずショックを受けた。だが1年生の時から一緒だった友人の一人が、アメリカ滞在中、生活面をずっとサポートしてくれたおかげで、最終的にはとても楽しんで帰ってこられた。
大学3年生の時、県の国際課でインターンシップを経験した。インターンの経験は、社会で働くことについてイメージができ、自分の障害について説明しながら行動することにも、自信が持てた。
自分のことをどこまで説明するかについて、学生のうちは、大学側もなるべく要望を聞こうという姿勢だったが、社会人になると採用側と折り合いを探さなくてはいけないと徐々に感じるようになった。要望を出し過ぎて採用側に断られてしまう経験をしてからは、入り口ではねられないように、「この条件だけは絶対譲れない」というものに絞って就活をした。
色盲であることで困るのは、お化粧が分からないこと。化粧品を買うのも、「こっちのお色がいいです」と言われても分からないので、苦手だと感じる。学校時代は、小学生のカラフルなプリントが分からなかったり、リトマス試験紙が両方白に見えるということはあったが、大学になるとフルカラーのものがなくなるので、あまり困った記憶はない。ただ社会人になるとまた、仕事の書類で重要なところが赤字で示されることがあり、困ることがある。
障害のためにできないことがあって助けを求めるのは、恥ずかしいことではない。自分が困るのに何も言わないと相手もどうしていいかわからないが、きちんと伝えると案外「そんなことなの?」と聞いてくれることもある。これから障害を持ちながら進学を考える人には、やってみたいことにまず首を突っ込んで、自分のできることできないことを自分で理解しながら、自分の世界を広げて楽しく過ごしてほしい。
春香さんは弱視のため、文字は読めるが、顔を紙にとても近づけるので一度に目に入る文字数が非常に少ない。センター試験と大学の試験では、問題用紙の拡大と、時間延長、解答用紙をマークシートから直接書く方式に変更すること、また、問題用紙に合わせて大きな机にしてほしいということを要望して認めてもらった。
大学に対しては、入学前に、まず配慮してほしいことについて文書で申し入れをして、その後実際に高校の進路指導の先生と春香さん自身と、両親、大学の担当者で話し合いの時間を持った。自分や両親は遠慮してしまうところがあったが、高校の進路指導の先生は非常に慣れていて、とても心強かった。
授業に関しては、初回オリエンテーション後に担当の先生の所へ行き、配慮をお願いしていますと伝えるようにしていた。そうするとほとんどの教員が「ああ、あなたですか、聞いていますよ」といった反応で、細かい調整を相談できた。一つだけ、顕微鏡を使う授業に見学に行った際、自分には難しそうだと思い辞めてしまった科目がある。今思えば、教授も顕微鏡を覗かなくてもモニターで見る方法があると言っていたので、もう少し履修するために粘っても良かったかもしれないと感じている。
周囲の人に自己紹介をする機会には、自分は弱視であり、授業中支援をお願いすることがあるかもしれないこと、また一緒に資料を見る時などは非常に顔が近くなることも説明していた。
3年生になって、3週間アメリカに滞在する実習があった。それまでは比較的スムーズにやってこられたのに、例えばファストフードで食事を調達するのに見えなくて困るなど、そこでは同級生のペースについていけず、自分は手がかかる人間だったんだと少なからずショックを受けた。だが1年生の時から一緒だった友人の一人が、アメリカ滞在中、生活面をずっとサポートしてくれたおかげで、最終的にはとても楽しんで帰ってこられた。
大学3年生の時、県の国際課でインターンシップを経験した。インターンの経験は、社会で働くことについてイメージができ、自分の障害について説明しながら行動することにも、自信が持てた。
自分のことをどこまで説明するかについて、学生のうちは、大学側もなるべく要望を聞こうという姿勢だったが、社会人になると採用側と折り合いを探さなくてはいけないと徐々に感じるようになった。要望を出し過ぎて採用側に断られてしまう経験をしてからは、入り口ではねられないように、「この条件だけは絶対譲れない」というものに絞って就活をした。
色盲であることで困るのは、お化粧が分からないこと。化粧品を買うのも、「こっちのお色がいいです」と言われても分からないので、苦手だと感じる。学校時代は、小学生のカラフルなプリントが分からなかったり、リトマス試験紙が両方白に見えるということはあったが、大学になるとフルカラーのものがなくなるので、あまり困った記憶はない。ただ社会人になるとまた、仕事の書類で重要なところが赤字で示されることがあり、困ることがある。
障害のためにできないことがあって助けを求めるのは、恥ずかしいことではない。自分が困るのに何も言わないと相手もどうしていいかわからないが、きちんと伝えると案外「そんなことなの?」と聞いてくれることもある。これから障害を持ちながら進学を考える人には、やってみたいことにまず首を突っ込んで、自分のできることできないことを自分で理解しながら、自分の世界を広げて楽しく過ごしてほしい。
インタビュー08
- 予備校は、集団だと難しいと思ったので個別指導の学習塾を選んだ。参考書も、自分が見やすいものを選んでいた
- 大学受験に力を入れている高校(盲学校)だったので、入試の際の配慮申請にサポートがあって、センター試験も二次試験もいい条件で受験ができたと思う
- オープンキャンパスで、弱視のことや必要な配慮を説明した時、対応が芳しくない学校は行かなくていいと思っていたが、先輩方のおかげで快く話を聞いてくれた大学が多かった
- 大学側にまず文書で申し入れて、その後、大学側の教務課と高校の進路指導の先生、両親と自分で直接会って、話し合った。高校の先生が慣れていて心強かった
- 履修を検討していた科目が、顕微鏡を覗く授業だった。覗いてみたら弱視でよく見えず諦めてしまったが、後から考えると顕微鏡をモニターにつなぐ方法も試してみればよかった
- 科目の試験は、時間延長と問題の拡大コピーをしてもらった。実際やってみると、用紙がとても大きくて笑えるようなこともあったが、自分としては見やすくて良かった
- 大学3年の時実習でアメリカへ行ったが、慣れない土地でファストフード店などに入るときなど、周囲の人の動きに合わせて行動することが難しく、友人のサポートが必要だった
- 履歴書に盲学校と書くのでそんなに簡単にバイトはできないと思っていたが、スーパーで採用された。「丁寧な仕事で、安心して任せられる」と褒められて、自信を得ることができた
- 最初は大学のキャリアセンターが開催しているセミナー等と並行して障害者向けの就職セミナーでも情報収集をした。医薬翻訳をやりたくて片端から関連企業の説明会に参加した
- 自分の視力障害を説明した文書をつけていろんな自治体に応募した。小さい自治体からは断られたが、県庁では充実したインターンシップを経験することができた
- 就職説明会では前方の席の用意、マークシート方式の解答方法の変更、個人用資料の提供の3点に絞って、事前に配慮をお願いして参加するようにした
- 授業などの自己紹介の機会には、自分は弱視で人に援助を求めることがあるといった話をした。また、構内ですれ違っても自分は気づかないから声をかけてほしいとも伝えていた
- 本格的な一人暮らしは大学が初めてで、自炊は大変だったが工夫もしていた。次第に、自炊に疲れると近所のごはん屋さんへ行くというサイクルもできて落ちついた