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インタビュー時年齢:49歳(2019年4月)
障害の内容:視覚障害(全盲)
学校と専攻:大学・社会学部(1991年度入学)、大学院(1995年度入学)
関東地方在住の女性。小学校2年生まで普通学校に通い、その後中3まで盲学校。高校は普通学校に進学した。大学で一人暮らしを始め、盲導犬と一緒に暮らし始めた。大学院の時に、全盲学生で初めて東京都立の一般の高校で初めて教育実習を受けた。自分の母校の高校での実習はとても大変だったが、かけがえのない時間となった。現在は、全国的な当事者ネットワークである「全国障害学生支援センター」の事務局長をしている。
語りの内容
――その1人でものを作るとかっていうのも初めてですよね、お料理。
そうです、ほぼ。
まあ、皮むきとかね、下ごしらえぐらいはやってましたけど、お料理はないです。だから、自分でお料理の、図書館で本を点字のとか、音読で借りてとか、あと音読のそのボランティアさんいますよね、対面朗読で教材読んでもらう人。で、大体3時間ぐらい読んでもらうんです、1週間に1度ね。で、その3時間の終わりの20分は料理・料理・料理、もう全部教えてもらって、その場で料理雑誌持ってきて。
主婦の人だから、もう、もう、もう恥も外聞もないですよ。もう一から全部聞いて、どうしたらいいですか。「油を入れてね。油なんかいいのよ、こんな大さじ1とか書いてあるけど、こんなの適当よ」とか言って、「入れてね」とか言って、「あ、ここにこういうふうに書いてあるけど、こんな材料なくたってできるから」とか言って、全部教えてもらって。
――教えてもらって、それを。
うん。自分で家に帰ってやる。
――自分で家に帰って実際作る。
やって、そう。あと、友達に教えてもらったり。
――で、おうちは、コンロですよね。
そう。そのうちはガスコンロでしたけど。
――ガスコンロ。
私は電磁調理器で、鍋が1個だけのやつを買って、一人だし、炊飯器もあったから、それでやってました。電気でした。それはちょっと怖かったので、やっぱり。あの、慣れてればガスでも全然見えない人でも使えるんですけど、私は電気でやってました、不器用なんで。
――例えば、すみません、私が知らないんで教えていただきたいんですけど、郵便物とかってきても何、どれか分かんない。
あ、そう、そう。分かんないから、一番はその対面朗読のときに私信を読んでいいんですね、基本。うん。だから私信は全部そこに持って行って、読んでもらって書いてもらって。
だから書き方だって自分じゃ分かんないわけですよね、郵便の振り替えの書き方とか。例えば、いっぱいあるじゃないですか。福祉の書類とかも分かんない。もう、だから役所行って一から教わって聞いて、で、も、書いてきてくださいって言われたら、もう持って帰ってみたいな。
――その対面朗読のところっていうのは、じゃあ、もう本当に定期的に。
そうです。もうお部屋を借りているので、その時間、私のブースとして。
――で、人も来てくれる。
そうです、そうです。決まった人が必ず来てくれて。
――それって具体的には週に何回ぐらい行くんですか。
あ、それは自分の望みでやるんですけど、私は確か週に2回、最初は2回かな、割と多かったので1回になったのかな。ちょっと詳しくは覚えていないですけど1~2回やってもらってました。
――じゃあ、その身の回りのこととか、まあ学校のことも含め、そこで。
そうです。要は大人の人ですからね、ボランティアさんは、で、一から教えてもらって。
――お料理も。
そう。お料理も、だから一緒に雑誌見ながら。あ、それだけじゃないんですよ。自分でも勉強して、だから自分でも、て、本を読んで一から覚えるの、読んで、言葉から覚えるってやったり、あと友達に教えてもらって。
インタビュー15
- 20年以上前の当時は、点字受験を認めているところしか受験せず、時間も“点字受験イコール1.5倍の時間延長”とほぼ決まっていたので、事前に大学側と交渉することはなかった
- 点字受験が可能かどうか1件1件電話で問い合わせて、受験できるところを受けた
- 自分の進学先はもともと既に視覚障害の方が在学されていて、自分の入学に際しても、大学側は四苦八苦しなかった
- 母校で行った教育実習では、ひとクラスを受け持って、合唱の指導も行った。最終日に生徒全員がメッセージを吹き込んだカセットテープをくれた
- 盲導犬の話を含めて自分の経験を語ったことがあり、これを聞いた人からの講師としての講演依頼をきっかけとして、いろいろな学校で有償で話をしたり授業をしたりするようになった
- 大学時代の友達の話から、障害のない人が、障害のある人に接することは大きな学びになることだと思った。だから、障害のある学生は堂々とキャンパスにいたらいいと思う
- 学校を動かすといった大がかりなことよりも、直接教員のところに行って質問をし、個別でやりとりをする方が心地よかったので、自分はそんなやりとりを続けていた
- 親の方針で高校生からボランティアとのやりとりは自分でやっていたので、大学でも困らなかった。ボランティアの人とは子どもや孫ほど年が離れており、大切にしてもらった
- 当時大学の教科書を読んでもらうのに地域の対面朗読のサービスを使っていたが、その最後の時間で、料理本のレシピや一人暮らし先に届く私信などを読んでもらっていた
- 大学で一人暮らしを始めたが、最初は電話や暖房器具もなくてそれを揃えるところから始めた。スープを作ろうと思ってコショウを一瓶分いれてしまったこともあった