※写真をクリックすると、動画の再生が始まります。
インタビュー時年齢:30歳(2019年2月)
障害の内容:視覚障害(弱視・色盲)
学校と専攻:大学・外国語学部(2007年度入学)
関西地方出身の女性。先天性の弱視で、色盲がある。小学校は普通学校で学んだが、中高は、盲学校に通った。中高ごろからとても興味があった英語を学びたいと思い、外国語学部に進学した。3年生の海外実習では困ることがあったが、周囲にサポートされて充実した時間を過ごせた。現在は、一般企業で働いている。
語りの内容
援助という意味では、やっぱり、友人の援助というのは非常に、助かりまして、大学の普段の授業では大体、何とかなってたんですけれども、大学3年生のときに、私は、あの、外国語学部だったので、特別授業で「アメリカ事情実習」という授業がありました。この授業は3週間、アメリカの東海岸に滞在しまして、最初の、3週間ある授業だったんですけれども、最初の1週間はペンシルベニア州のとある大学で、サマースクールのような形で1週間授業を受ける。2週目はワシントンD.C.に滞在していろんな政府機関を見学に行って、アメリカと日本の外交関係について実際の政府機関の方たちから話を伺う。で、3週目は国連本部に行って勉強して、あとはひたすらニューヨークで遊ぶという、あの、ま、とても楽しい実習があったんですけれども、この実習では基本的に、あの、食事は各自で調達だったんですね。
で、あのー、カフェテリアに、大学の授業の間は、カフェテリア使えましたけれども、でも、夕ご飯とかは地元のレストランとか、近所のデリとか、ファストフードとかに、行かなきゃいけないわけなんですが、そこで、あのー、やっぱり私は、慣れた場所ではもう一人ですたすた歩き回れますけれども、初めての場所で、こう、周囲を見渡して状況を把握するっていうのはとても苦手です。ましてや、あの、ファストフードですとか、あるいは、セルフサービススタイルのレストランなんかで、どういうシステムなのか周りの人の、様子を見てとって、同じように動いて、スムーズに会計まで済ませるというような芸当はなかなか難しいわけなんですね。
で、まあ、やっぱ正直、結構、自分は大学3年間で、一人でいろいろできていたので、最初のうちは、自分が周りの実習に参加している同級生のペースについていけないことにも結構ショックを受けましたし、レストランなんかでも全然自分だけ何か分かんなくて、何か、あの、とんでもないところに立ち止まっていて、周りの人がちょっと邪魔そうにされたりするようなこととかもあったりして、ちょっと、あの、私って、実は結構手が掛かる人間だったんだなと思って、あの、結構へこんだんですけれども。
ただ、あの、大学1年からずっと一緒にいた、友人がですね、常に私の、手引きをしながら、アメリカを一緒に回ってくれまして、こう、いろいろね、周りで、デモなんかしてる人がいると、「あ、何かああいう、あんなことを書いてある札を持ってるよ」とか、「あ、何か変わったパフォーマンスをアピールしてるよ」とか、いろいろ周りの様子なんかを教えてくれたり、レストランなんかでも、こう、さりげなく、いろいろ教えてくれたり、して、3週間の実習の間ずっとサポートしてくれまして、おかげで、非常に最終的にはとても楽しんで、帰ってくることができたっていうのは、友人にしてもらったこととしては非常に印象に残ってますね。…はい。
インタビュー08
- 予備校は、集団だと難しいと思ったので個別指導の学習塾を選んだ。参考書も、自分が見やすいものを選んでいた
- 大学受験に力を入れている高校(盲学校)だったので、入試の際の配慮申請にサポートがあって、センター試験も二次試験もいい条件で受験ができたと思う
- オープンキャンパスで、弱視のことや必要な配慮を説明した時、対応が芳しくない学校は行かなくていいと思っていたが、先輩方のおかげで快く話を聞いてくれた大学が多かった
- 大学側にまず文書で申し入れて、その後、大学側の教務課と高校の進路指導の先生、両親と自分で直接会って、話し合った。高校の先生が慣れていて心強かった
- 履修を検討していた科目が、顕微鏡を覗く授業だった。覗いてみたら弱視でよく見えず諦めてしまったが、後から考えると顕微鏡をモニターにつなぐ方法も試してみればよかった
- 科目の試験は、時間延長と問題の拡大コピーをしてもらった。実際やってみると、用紙がとても大きくて笑えるようなこともあったが、自分としては見やすくて良かった
- 大学3年の時実習でアメリカへ行ったが、慣れない土地でファストフード店などに入るときなど、周囲の人の動きに合わせて行動することが難しく、友人のサポートが必要だった
- 履歴書に盲学校と書くのでそんなに簡単にバイトはできないと思っていたが、スーパーで採用された。「丁寧な仕事で、安心して任せられる」と褒められて、自信を得ることができた
- 最初は大学のキャリアセンターが開催しているセミナー等と並行して障害者向けの就職セミナーでも情報収集をした。医薬翻訳をやりたくて片端から関連企業の説明会に参加した
- 自分の視力障害を説明した文書をつけていろんな自治体に応募した。小さい自治体からは断られたが、県庁では充実したインターンシップを経験することができた
- 就職説明会では前方の席の用意、マークシート方式の解答方法の変更、個人用資料の提供の3点に絞って、事前に配慮をお願いして参加するようにした
- 授業などの自己紹介の機会には、自分は弱視で人に援助を求めることがあるといった話をした。また、構内ですれ違っても自分は気づかないから声をかけてほしいとも伝えていた
- 本格的な一人暮らしは大学が初めてで、自炊は大変だったが工夫もしていた。次第に、自炊に疲れると近所のごはん屋さんへ行くというサイクルもできて落ちついた