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インタビュー時年齢:22歳(2019年7月)
障害の内容:肢体不自由(脳性麻痺)
学校と専攻:大学・人間福祉学科(2015年度入学)
九州地方在住の男性。脳性麻痺による肢体不自由で、外では電動車椅子、自宅では手動車椅子で生活している。大学で社会福祉系の学部へ進学したが、大学側からの配慮が十分でなく、授業や実習、学生生活においてとても苦労した。だが、周囲の友人の大きな支えがあって卒業できたのは、とてもありがたかった。現在は社会福祉士の国家試験を目指して、勉強中。
語りの内容
今でも覚えてるんですけど、3月、去年…の4年生になる前の3月に、この福祉の就職フェアに行ったときに、ブースもあるわけですよね…。一つのブースに行ったときに同期生2人は健常者なんで、普通に大学生、普通に福祉に就職をしようとしてる学生として、話をされるわけです。
パンフレット持ってこられて、それまではいいんですよね。パンフレットで(相手が)利用するほうの流れを話し始めたんですよね…。あれ、これ絶対、就職の話じゃないよなって思いながらも、私は、雇って、下手すれば雇っていただく側、面接する側なので、こちらからね、バンって言えるわけではないじゃないですか。だから、もう真摯(しんし)にお話を聞いて、絶対これ、もう利用者、利用する…、感じになった体の話し方だなって、自分の今までの経験上…、分かってたんですね。で、案の定ある程度話し終わって、こんな感じだから利用するならどうのこうのって言ってたから、あっ、これ、利用者に対すする話し方だよなって、うん。
なんか、何だろう。ほんとに手間はかかるし、利用者いっぱいで大変だけど、何だろう、ここまで何だろう。受け入れられないっていうか…。ちょっとしたサポートがあればできるのに…。どういう仕事をしていくかっていうのは、やってみてからじゃないと、じゃあ、こういうことはできるねって、こういうことができますよっていうのも相談できないじゃないですか。
現場も見てないのに、どういうことをしていく予定、どんな感じでしていくつもりみたいなことを言われるんですね。でも正直説明会行ったときも、どんなふうにしていくつもりなのって聞かれても分からないんですよね。だから出勤してからの流れ、どういうふうにしていくのがいいって聞かれたこともあったんですけど、もう私からしてみれば、困りながらのなんかスケジュールがどんな感じなのかも分かんない状態で、出勤したらこういうふうに、会議、朝礼をして、こういうふうにしていこう。まあまあ、さまざま頑張って想像もして、あっ、もう話していくみたいな感じで、うん。ほんとにもう…、そんな感じでちょっと分からない。
で、なんかどんどん、どんどん福祉に対して悲しい気持ちになっていくし、福祉に対してなんかこう、肯定をするっていうよりかはなんかどんどん負のほうがもうたまっていくじゃないですけど、何だろう…。悲しい気持ち。そして、なんか、なんかもう行く末を考えたときの絶望っていうか。もう何もできないんじゃないか。ほんとに自分ってお荷物なんだなっていう実感もする日々っていう感じですね。もうほんとにそういう何だろう。大学生とすら思われていないし、この就活ではもうそんな感じだし、ほんとに何だろう……。なんか厄介者のお荷物で、こんなに手のかかる人になってしまって申し訳ないなっていうふうに、ほんとになんか思ってしまうっていうか、感じでしたね。
インタビュー23
- 車椅子で日常生活に介助が必要で、将来親がいなくなった後まずいんじゃないかなと思い、自分のために制度のことを知っておいたほうがいいと思った
- 小さい頃から一緒にリハビリなどをしていた車椅子の先輩がその大学にいて、困ったら助けてと言えると思い、その大学を選んだ
- 大学からは、介助をつけて実習に行く人が初めてなので頑張ってと言われてしまい、当時は夜も眠れず、後輩に迷惑がかかると思うと失敗もできないと思っていた
- 健常者の同期生と福祉の就職フェアに行った時、自分だけ利用者向けの説明をされた。どのように現場で仕事をするつもりかと聞かれ、自分は厄介者のお荷物なのだと実感した
- 大学では苦しい経験もたくさんしたが、上級生や友人のおかげで卒業できた。自分のことを気にしてくれる人がいるかどうかで、大学時代が変わってくる
- 大学からの代筆サポートが十分でない時は同期生に依頼するなどしたが、それを職員に咎められた。自分としては人に頼むことも「自立」なのに、おかしいと思った
- トイレ介助に関してもヘルパー制度が十分でなく、他の障害学生とヘルパーを取り合うような形だった。友人に介助を頼むと、その人が職員から怒られてしまうこともあった
- 自分を受け入れてくれた同級生や後輩、上級生などの存在はとても大きかった。大学を辞めたいと思ったときも声をかけてもらうなど、そんな友達に出会えたのは初めてだった