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インタビュー時年齢:21歳(2019年5月)
障害の内容:発達障害(ASD:自閉症スペクトラム、DCD:発達性協調運動障害)
学校と専攻:大学・マスコミュニケーション学部(2016年度入学)
首都圏在住の男性。両親と姉、兄の5人家族で育った。小さい頃から発達障害の傾向はあったが、大学4年の春休みに診断された。人との関係が難しいこともあるが、即興芝居を行うワークショップに出会い、それがとても面白くて熱中し、表現する意義を感じた。発達障害のことも、ブログなどで発信している。大学入学を機に四国地方から上京し、現在は一人暮らし。
語りの内容
何か、(大学生になって初めて)人間になれたなと思いました。あ、べつに俺、大学に恩感じたこともないし、べつに何か、大学大好きとかではないんですけど。高校のときは、やっとその何か人と分かり合えたみたいな感じになったんですけど、まだ自分が人間じゃないんですよ。
で、大学でやっぱりその、まあ、うーん、大学を褒めたほうがいいと思うんですけど、いいんですけど、何か…、大学やっぱ本当そんな恩を感じてなくて。だけど、やっぱインプロ(学外でやっていた演劇活動)がやっぱ強くて、自分の中では。そのインプロと出会えたのが、まあ大学生だから、たまたま、たまたま大学生だっただけなだけで。で、何かインプロ…、ね、インプロをしたらいろんな人と会えるし、インプロをしたら自分の自己肯定感も上がったし、やっと人間になれたなって思って…。だし、その、さっき言ったんですけど、僕は(DCD:発達性協調運動障害のために)自転車に乗れないんで、(大学より前は、)友達の家まで歩いて行く、それってつらいんですよ。楽しかったんですよ、当時は。だけど、今振り返ればしんどいじゃないですか。
だけど、上京するっていうことで電車を使えるんですよ。電車でどこでも行けるんですよ。それってすげえなって本当、最近思うんですよ。何か、まあ往復で今千葉のほうなので、1,100は安くてもかかるけど、たった1,100円で人と会えるし、人とご飯食べれるし、すげえなって思ってて。
まあ、大学でも人、会えるんだけど、何か……、そうですね、やっぱ…、うん……、べつにインプロに会いに行ったのは僕なんで、べつに何だろうな、大学のおかげ、じゃないんですけど、自分のおかげなんですけど、大学がつまんないなって思えたから外に行こうと思ったわけですから、何か…、逆に、ありがとうですね…。
だけど授業だって面白いときもありますし、面白い先生だっていますけど…、べつに何か、よく言うじゃないですか、東の人は冷たいって、で、西の人は温かいって、何か本当それだなって思って。東の人って何か人見知りが多いなって思うんですよ。だし、空気読もうとするし、なんでつまんないんです、多分大学って…。まあ、西に行ったら西に行ったで、僕は面白い人なので、またいじられてしんどい思いをするんだけど…、まあ、どっちもどっちで悪いことはあるんだけど。
何か、僕に、僕にとっての大学は何だろうな、遠回しで、遠回しに背中を、押してくれた、場所だし、多分、多分今、高校よりも、好きだし…。まあ、大学が、じゃないんだけど、大学生のときの僕のほうが、大学生の僕が一番その、好きなので、いいなと思います。はい。
インタビュー18
- 自分の大学はそもそも試験などもすべて「持ち込み可」なので、何とかなっていた。「持ち込み可」ならちゃんと資料を取っておけば授業やテストは問題ないと思っている
- 演劇を学ぶために入学した大学だったが、中の人間関係がよくなかったので、学外の即興芝居のワークショップに参加して表現する楽しさを学び、青春を味わうことができた
- これから取り組む卒業論文では、発達障害である自分のことを振り返ることをしたいと思っている。自分を理解することにつながるし、誰かのためになるかもしれないとも思う
- 大学生になったことで出かけやすくなったり、学外の活動でいろんな人と出会った。大学は遠回しに背中を押してくれた存在で、大学生になった今の自分が一番好きだと思う
- 障害のためにできないことはあるかもしれないが、「大事な人はすぐ側にいるよ」という歌の歌詞があるように、意外と側に人がいるということを伝えたい
- 自閉症の診断を受けた人が「自閉症のくせに彼女がいて」と言われたとSNSに書いていた。たまたま自閉症でも、親からもらった名前がある一人の人として見てもらいたい
- ネットで見つけた発達障害の人たちが集まるカフェに友人と出かけてみた。だが、そこには自分より症状が悪い人たちが多く、とても居づらいような思いになった
- 自分の大学のゼミで議論の内容が分からなかった時、他の大学の耳の聞こえない友達に相談していた。友達も同じような悩みを抱えており、自分たちで議論の場を作った(筆談)
- 自分は人との距離を縮めるタイプで、入学当初多くの人に話しかけたが、大学の人たちとはうまくいかなかった。周りを見ていて、考え方が違うなと感じていた
- 大学で上京して一人暮らしを始めた。家族とは仲が悪いわけではないが、一人暮らしはとても自由で、楽園のような思いで過ごしている
- 診断されてから、母親への気持ちが変化したように思う。以前は、自分は出来ないことが多くよく怒られて怖かったが、診断されてからは「頑張ります」という気持ちが芽生えている