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インタビュー時年齢:47歳(2019年1月)
障害の内容:発達障害(ADHD:注意欠陥多動性障害)
学校と専攻:大学・教育と心理(2010年度入学)、大学・生活と福祉(2012年度入学)
関東地方在住の男性。子どもの頃からノートが取れないなど人と違うところがあったが、社会人になり仕事がうまくいかなかった時に診断を受けた。作業所に通い、一人暮らし開始をきっかけに通信制の大学で学び始め、配慮を受けながら非常に多くのことを学んだ。人からは、ムードメーカーだとよく言われる。趣味は折り紙と映画。現在は一人暮らしを続けている。
語りの内容
うーん、とにかくですね、周りの人に無理やり合わせることはやめさせて、やめてほしいですね。だから僕も子供の頃にノート取れないと駄目だ、駄目っていうのはどうやってもノート取れない人ってやっぱりいるわけだし。でも、ね、それ学習方法って画一じゃないよねっていうのはやっぱあって、ね、暗記が得意な子もいれば、得意じゃない子もいるわけなんだけど、学習方法って人によって違っていいはずだし、そこもね、学び方を、選択肢を多くしてくれるとか、ね、どの学び方がこの人にとっては合っているのかなっていうのを一緒に探っていくって、そういうことあるとすごくうれしいですね。ええ。勉強っていうのはね、本当ね、苦痛じゃなくて楽しいってことをね、伝えてほしいですよね。はい。
――先ほど、あの折り紙で、もしその折り紙をもっと前から知っていたら数学は嫌いにならなかったと。
そうですね。数学は嫌いにならないで済んだわけだし、うん、やっぱりね、僕は、もう高校ね、あの、数学全然駄目で卒業できませんってレベルまでいったんだけど、たまたま最後はね、確率だったんですよ。確率っていうのは僕、ゲーム好きですから、高校のその確率なんてせいぜいさいころ2個ふって出る目とか、トランプの赤いカードを引く確率とか、そのレベルなんですよ。こんなのね、これ、数学なの?と思って、遊びじゃん、これと思ったんだけど。まあ、ただ、確率苦手な子もいるんですけど、僕は救われたっていうのがあって、それがなければ僕、ね、専門学校、進級決まってたんですけど卒業できない、取り消しですって、まあ、変な話なんですけど。
あと、ひどかったのは、縦笛吹けないで、何で高校生で留年寸前までいくのって話なんだけど、できなくてもいいじゃん、なんだけど、押し付けるなよって話なんだけど、あんなのさ、不器用な子に縦笛なんて、ね、苦痛にしかならないんだから、押し付けないでねっていうとこあるんだし。ね、美術の先生にも、どうしても僕、不器用だから絵うまくないんですよ。「おまえのは見る価値がない」って言われちゃったりした、したことあんだけど、ね、でも、はみ出すことをちょっと許してよね。はみ出す許容範囲。はみ出してもさ、人間っていいんだよね、何で型にね。大量生産に僕、なれない人間だったから、ね。でも、はみ出す人を受け入れるゆとりっていうのをもっとね、今の日本の社会ってね、まあ、ね、閉塞(へいそく)感強いっていうけど、はみ出す人を楽しむ余裕ってね、もうちょっと。
インタビュー06
- 社会人を経て、一人暮らしを始めたタイミングで時間が自由になり、前から大学で学びたかったので、大学に行き始めた
- 通信制大学は、好きなペースで学ぶことができ、学費も安く、無理なく続けていける人がいっぱいいるのがいい
- 試験は個室受験で周りを気にせずに済み、試験の形式も記述式とマークシートが選べたので、字を書くのが苦手なためマークシートを選んだ
- 文化人類学や比較行動学など様々な科目を取りながら、多角的に自分のことも知ることが出来た。様々な知識や考え方に触れて、確実に人生が豊かになった
- 社会は発達障害の生きづらさにスポットを当てたがるが、生きやすい部分もあると思う。「普通」という言葉が気になってしまうが、前向きな開き直りも大事だと感じる
- 子どもの頃にノートが取れないとだめだと言われたり、縦笛が吹けなくて留年寸前までいった。だがみんなが同じことができるわけではないし、学び方は一つではない
- 目の前にいる人に対して全力で向き合うのがADHDの人のコミュニケーションパターンだと感じる。自分も相手に対して出し惜しみしないで、一期一会の出会いを大事にした
- 一人暮らしは全部が自己責任で、思った以上に判断力がついた。片づけが苦手で、一人暮らしは苦労の連続だが、母親から「こんなに強かった?」と言われたこともある