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インタビュー時年齢:27歳(2019年2月)
障害の内容:重複障害(盲ろう)
学校と専攻:大学:社会福祉学(2011年度入学)、大学院:情報アクセシビリティ(2017年度入学)
関東地方在住の男性。大学入学前は、盲学校、ろう学校等で学んだ。点字や触手話を使う。将来、盲ろう者の役に立つ仕事がしたいと思い、社会福祉を学ぶために大学に入学して、6年かけて卒業した。大学で健常者の人と一緒に学んだことで、大きく世界が広がった。卒業後は、情報アクセシビリティを学ぶために大学院に進学し、現在は寮生活を送っている。
語りの内容
全国の中の状況を見ると、ほとんどの方が、まあ、盲ろう者のほとんどの方が家に引きこもっているような状況が見られます。他の盲ろう者がいることを知らないまんまに生活をしていたり、大会に来ることのない盲ろう者がいたりなどが課題だと思います。盲ろう者の行事などに集まれる盲ろう者というのは、先ほど1万4,000人いると言った盲ろう者の中に1,000人ぐらいの方です。そのぐらいの方が集まっているという状況です。つまりそういう、まあ、集まれるのは10%ぐらいしか集まれていないということですね。
――分かりました。そうすると、ご自身としては、その、10%ぐらいしか集まれていない方が、もっと広がるようにとか、もっと家から出られるようにとか、あのー、そのために何か、ちょっと大きいことかもしれないですが、ご自身は何かできることがあるかなっていうことを思ったりしますか。
そうですね。今、盲ろう者の団体では、家に引きこもっているような盲ろう者に対して、まあ、そういう掘り起こすような活動はしておりますが、なかなか進まない、進みにくい状況があります。例えば、市役所に行っても、個人情報の関係もあって、誰が、どんな方が、盲ろう者がいるというところまで教えていただくことはできません。ですので、自分が活動するだけではなくって、まあ、全国、県など行政に対して理解を、まあ、理解を広めることが必要かなというふうに思います。
――分かりました。理解を深めるために、ほんとにあのー、いろんな方法があると思うんですが、こう、どんなことがあるともっと、社会のほうも、あとは行政のほうも、あのー、盲ろう者に対してとか、障害を持つ人に対して理解が深まるかなあというふうに思いますか。
例えば、今われわれが活動している中でも伝える必要があるとは思います。僕の場合は大学に通うことができています。また、大学院にも入ることができました。その意味は何かということも伝える必要があるかなというふうに思います。で、今、お話ししました内容なども、障害学生だけではなくって、盲ろう者に対しても、またさらに、まあ、行政、全国の行政に対しても伝えていかなければいけないことだなというふうに思っています。
インタビュー07
- 将来は自分と同じ盲ろう者の支援をしたいと思い、そのために福祉の勉強が必要だと考えて専攻を決めた(手話)
- 大学ではパソコン通訳のソフトや、それを点字で受けるための知識がなく、主に触手話だった。大学院では、パソコン通訳を点字で受けるようになった(手話)
- 教科書の内容をテキストデータに変えてもらっていたが、それでも読みにくいものもあった。また専門用語はあらかじめ授業の内容を通訳にも送ってもらっていた(手話)
- 盲ろう者支援センターでの実習も検討したが、利用者の自分が他の利用者の個人情報に触れてしまうため受け入れらなかった。結局、資格取得は目指さないことにした(手話)
- 学内の手話サークルに通ったこともあるが、健聴者ばかりで手話の歌の練習をする程度だったので、学外の聴覚障害学生のグループに参加して、コミュニケーションを取っていた(手話)
- 大学では、健常者がどのような生活をしているのかということを知ることができた。例えばカラオケやゲームセンターに行くようなことも、実際体験することができた(手話)
- 最近は障害学生に対する理解も少しずつ広がっているので、将来、他の障害学生が大学で学ぶためにも、諦めないでほしいと思う(手話)
- 盲ろう者のほとんどは家に引きこもっていて、他の盲ろう者を知らないまま過ごしている。行政に支援の必要性を訴えていきたいし、大学に行けた自分はその意味を考えたい(手話)
- 自分磨きのために大学に行きたいと思ったが、親も自分を大学に行かせたがっており、様々なサポートをしてくれた。実際大学に入って良かったと思うことが沢山ある(手話)