親との関係

大学生活は、高校までとは違って自由度が高くなり、自分で選択することが多くなる分、家族との関係性が変化していく時期とも言えるかもしれません。ここでは家族の中でも親に焦点を当てて、大学進学に関する親の考えや、親との関係の変化、親に対して抱く思いについて、話されたことを紹介します。

大学進学に関しての親の考えやサポート

大学進学をするかどうか、どこに進学するかという意思決定には、様々なことが影響しますが、そのひとつに、親の考えがあります。高校を特別支援学校で過ごした車椅子の女性は、最初に大学に行きたいことを両親に話したらびっくりしていたが、両親は自分のやりたいことをやらせてあげたいという気持ちでいたようで実際は応援してくれたと話していました。また特別支援学校出身でも、親からは勉強をしっかりやるように言われて、大学への進学も当たり前だったと話した人もいました。

先天性の盲ろうで、日本で初めて大学に進学した次の男性は、親が大学に行かせたがっていたことを話していました。

※st07さんが大学で学んだことについては、「大学生活で得たこと」のページで話したことを、ご覧下さい。

親からの自立と大学進学

中には、親と離れて自立することを目指して進学先を選んだ人もいました。
肢体不自由の男性は、一人暮らしをすることが一つの目標だったので親の反対を押し切って、日帰りできない遠方の大学に進学したことを話しています。

次の聴覚障害の女性も、実家を出て親と離れることを目指して進学先を選んだと話していました。

また、大学進学を機に一人暮らしを始めて様々なことを体験し、親や家族に対しても、離れたからこそ様々な思いを持つこともあります。
「寮生活や一人暮らし」については、リンク先をご覧下さい

大学生活における親のサポート

学びに関する合理的配慮の提供(ノートテイクや代筆、教室変更等)は、大学等に課せられた義務で、それが過度な負担でない限り、本来大学の責任において行うことです。また大学で過ごす際に必要な生活介助(通学、学内介助(食事、トイレ等)、寮生活)も、地域の福祉行政・事業者等と連携し、公的サービス等を含めた支援の提供について大学が学生本人と検討することが望まれます。 
※文部科学省「障害のある学生の修学支援に関する検討会報告(第二次まとめ)」参照

しかし中には、制度が未整備だったり、公共サービスを使うことについて大学や自治体側に知識が不足していたりして、必要な配慮が提供されず、仕方なく親が支援の担い手になるということがあります。

通学時の介助が必要だった車椅子の女性は、入学から1ヶ月は、母親が介護休暇を取って付き添ってくれたということを話していました。

同じように、次の車椅子の20代の男性は、母親が授業支援や介助をしてくれたことやその時の思いについて、話をしていました。

在学中に事故で車椅子になった男性は、一人暮らし先に親が来て手伝ってくれることに対して、次のように話していました。

進学後に変化した親との関係

大学では、それまでとは違う様々な体験や出会いを通じて、学生自身の世界が広がります。親の言うことに反抗することや、自分のことを説明して、親との関係性が変化することもあるようです。

次の車椅子の男性は、大学時代に教員免許を取得すると決めたことは、初めて親の反対を押し切った出来事だったと話していました。

また、大学時代に、親に自分のことを徐々に理解してもらったという話をした人もいました。
入学時は診断が出ていませんでしたが、子どもの頃から体が弱いと思っていた内部障害の女性は、母親は最初心配していたが、なんとかやっている自分を見て、徐々に接し方が変わったと話しています。

在学中に、自閉症スペクトラム障害と反復性うつ病と診断された女性は、就職活動の際に障害者雇用のために障害者手帳を取得しています。女性は、当初父親から理解を得られずにショックだったが、その後時間をかけて徐々に理解されていったことを話していました。

聞こえる人たちの中で育った次の聴覚障害の女性は、大学で初めて聞こえない人と交流するようになり、手話を使い始めました。両親は、当初、手話を使うと聴力が落ちてしまうのではないかということや、身体障害者手帳を取るとマイナスなことがあるのではないかと心配しましたが、本人としては隠さずに生きる方がプラスだと伝えて、最終的には理解されたという体験を話していました。

在学中に、ADHD(注意欠陥・多動性障害)とDCD(発達性協調運動障害)の発達障害の診断を受けた男性は、診断がついたことで母親に対する気持ちの変化を感じていることを話していました。

体調と親との関係

人によっては、自分の障害や体調が、親との関係性に影響することもあります。
大学1年生の頃から体調が悪かったが診断名が分からず、休学を挟みながら過ごしていた内部障害の女性は、親との関係や親と離れたことについて、次のように話しています。

親への気遣い・思いやり

大学時代に、体調を崩したり、悩みを抱えていたりしても、親に心配をかけたくないといった思いなどから、親にすぐ言わないという人は多くいます。
自閉症スペクトラム障害と反復性うつ病の女性は、大学を休んでいることを親に言わなかった時の思いを、次のように話しています。

特別支援学校で育った重複障害の40代の女性は、当時は配慮がなく、勉強はとても苦労したが、親に頼らなくても普通学校で学べるという実績を作りたかったと話していました。

2021年11月公開 2022年4月更新

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