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インタビュー時年齢:21歳(2019年5月)
障害の内容:発達障害(ASD:自閉症スペクトラム、DCD:発達性協調運動障害)
学校と専攻:大学・マスコミュニケーション学部(2016年度入学)
首都圏在住の男性。両親と姉、兄の5人家族で育った。小さい頃から発達障害の傾向はあったが、大学4年の春休みに診断された。人との関係が難しいこともあるが、即興芝居を行うワークショップに出会い、それがとても面白くて熱中し、表現する意義を感じた。発達障害のことも、ブログなどで発信している。大学入学を機に四国地方から上京し、現在は一人暮らし。
語りの内容
うちの大学の授業で演劇をするっていう授業があったんです。で、そこで、まあ、えーと、さっきもちょっと言ったんですけど上京をするときに、上京は演劇をしたいからって来たので、あ、大学にあるんだと思って参加して。
参加したら参加したで、その中の人間関係がみんな下手だから、何か、何か分かんないけど争いが始まって、で、何か意味が分かんなくて。何か、もう、そのときぐらいから大学だけ、大学で頂点取ったら何がいいんだろうみたいな、そういう何かよく分かんないけど、だいが、うち、うん、自分の大学の人がそんなに好きじゃなくなったんですよ。
で、演劇はしたかったから、その、まあ、何かこれ、大学の、話からずれるんですけど、まあ、2016年9月23日かな、その日に、まあ、即興芝居っていう、インプロっていうんですけど、インプロに、のワークショップに何か初めて行って、それで何かインプロワークショップっていうものにはまってインプロをやってと思って。
で、大学2年生とか、大学3年生とか、授業は行けるけど、行くけど、ほぼ、そこ、そっちで出会った仲間としか会わないとか、会うとしても、いつ、ね、「いつメン」っていうんですかね、いつものメンバーみたいな人としか大学の人は会わないみたいな。何か、周りが何か、分かんないけどコミュニケーション能力がなくて、驚いて…、な、何でなんだろうみたいな。
大学、がもう嫌だと思ったので、で、だけどしたいことをしなくちゃと思って、まあ、愛媛にいるときからずっといろいろ調べてて、だけどインプロって何やねんって謎だったんですよ。で、行って、行ったらですね、最初に教わった人がこう言うんですよ。あ、とても簡単なゲームだったんですけど、その、ただ単に目の前にいる人の名前を呼んだり、そのリズム良く拍手を回すみたいなゲームだけで何か…、それを、し、できただけで、これが、ぎ、「これができたら、みんなインプロができるんだよ」って言ったんですよ。
で、僕はできることが人生で…、多分ないって思ってたんですよね。だって、縄跳びできない、自転車できない、お箸ちゃんと持てない、字が汚い…、えーと、バランス感覚がない。まあ、もっとないです。もっと、いろんなことができないっていう自分がいて、何か、初めてその、これができるよって言われたから、あ、できるんだ、僕でもって思って…、何か、ここにいますね。はい。
――インプロに会ったこととかインプロ自体、ご自分の今言葉で表現するとすると、自分にとってどんな意味があるものかなって思いますか。
ああ…。さっきも言ったんですけど、人間にしてくれたなって思ったし。だけど…、インプロっていうのは…、何か青春なのかなって。野球球児が…、野球が青春って言うのと同じで、さっきゃ、サッカー選手がサッカーが青春って言うのと同じで。
僕はやっぱり、その高校は応援団で青春を味わったけど、大学での青春っていうのはやっぱインプロなんだなって思いますし、インプロで出会った友人たちとも最近ではずっと、その関係がちょっと、わ、悪かった人とかもいたんですけど、最近ではちゃんと仲良くなれるし。何か、ちゃんと何だろう…、人を見れる、人と話せる、人と対話できる、人と、人と何かをするっていうことの楽しさ…。まあ、集団行動は苦手だけど、いろんな言葉に刺激を受けてちょっと大変だけど、人と何かをするっていう楽しさとか、自分を表現するっていう楽しさを何か教えてくれたというか……、っていう感じなのかなって思います。はい。
インタビュー18
- 自分の大学はそもそも試験などもすべて「持ち込み可」なので、何とかなっていた。「持ち込み可」ならちゃんと資料を取っておけば授業やテストは問題ないと思っている
- 演劇を学ぶために入学した大学だったが、中の人間関係がよくなかったので、学外の即興芝居のワークショップに参加して表現する楽しさを学び、青春を味わうことができた
- これから取り組む卒業論文では、発達障害である自分のことを振り返ることをしたいと思っている。自分を理解することにつながるし、誰かのためになるかもしれないとも思う
- 大学生になったことで出かけやすくなったり、学外の活動でいろんな人と出会った。大学は遠回しに背中を押してくれた存在で、大学生になった今の自分が一番好きだと思う
- 障害のためにできないことはあるかもしれないが、「大事な人はすぐ側にいるよ」という歌の歌詞があるように、意外と側に人がいるということを伝えたい
- 自閉症の診断を受けた人が「自閉症のくせに彼女がいて」と言われたとSNSに書いていた。たまたま自閉症でも、親からもらった名前がある一人の人として見てもらいたい
- ネットで見つけた発達障害の人たちが集まるカフェに友人と出かけてみた。だが、そこには自分より症状が悪い人たちが多く、とても居づらいような思いになった
- 自分の大学のゼミで議論の内容が分からなかった時、他の大学の耳の聞こえない友達に相談していた。友達も同じような悩みを抱えており、自分たちで議論の場を作った(筆談)
- 自分は人との距離を縮めるタイプで、入学当初多くの人に話しかけたが、大学の人たちとはうまくいかなかった。周りを見ていて、考え方が違うなと感じていた
- 大学で上京して一人暮らしを始めた。家族とは仲が悪いわけではないが、一人暮らしはとても自由で、楽園のような思いで過ごしている
- 診断されてから、母親への気持ちが変化したように思う。以前は、自分は出来ないことが多くよく怒られて怖かったが、診断されてからは「頑張ります」という気持ちが芽生えている