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インタビュー時年齢:21歳(2019年5月)
障害の内容:発達障害(ASD:自閉症スペクトラム、DCD:発達性協調運動障害)
学校と専攻:大学・マスコミュニケーション学部(2016年度入学)
首都圏在住の男性。両親と姉、兄の5人家族で育った。小さい頃から発達障害の傾向はあったが、大学4年の春休みに診断された。人との関係が難しいこともあるが、即興芝居を行うワークショップに出会い、それがとても面白くて熱中し、表現する意義を感じた。発達障害のことも、ブログなどで発信している。大学入学を機に四国地方から上京し、現在は一人暮らし。
語りの内容
――そのときは、初めての一人暮らしは、うまくいったんですか?
えーと、手続きとかは、まあ、親がしてくれますし…、で、楽なんですけど…、そう。何か、僕、家族といても家族の目を気にするんですよ。さっき友達とも話してたんですけど、集団なんで、家族も。なんで、僕は家族に対してこれがしたいとか、あれが食べたいとか、「したい」をなかなか言えない子だったんですね。
だって、お兄ちゃんもいるし、お姉ちゃんもいるので、そっちを尊重しないと、僕はお金をかけてリハビリとかやっているから、これ以上したら駄目だって思ってたので、本当に自由の場なんですよ、(一人暮らしの)自宅が…。
本当に何でしょう、学校に行けば友達の目を気にしないといけないし、先生の目を気にしないといけないし、しかも友達じゃない人も気にしないといけない。で、家族といるときは、べつに仲悪いわけじゃないけど家族を尊重したいから、そっちを大切にしちゃう。
で、いとことか、そういう親戚ってなっても、何か…、みんなが話しているから僕は入ったらいけないとかっていうのが強くて…。強くて……、一人暮らしっていうのは、多分楽園でしたね…。今もそうですけど。
インタビュー18
- 自分の大学はそもそも試験などもすべて「持ち込み可」なので、何とかなっていた。「持ち込み可」ならちゃんと資料を取っておけば授業やテストは問題ないと思っている
- 演劇を学ぶために入学した大学だったが、中の人間関係がよくなかったので、学外の即興芝居のワークショップに参加して表現する楽しさを学び、青春を味わうことができた
- これから取り組む卒業論文では、発達障害である自分のことを振り返ることをしたいと思っている。自分を理解することにつながるし、誰かのためになるかもしれないとも思う
- 大学生になったことで出かけやすくなったり、学外の活動でいろんな人と出会った。大学は遠回しに背中を押してくれた存在で、大学生になった今の自分が一番好きだと思う
- 障害のためにできないことはあるかもしれないが、「大事な人はすぐ側にいるよ」という歌の歌詞があるように、意外と側に人がいるということを伝えたい
- 自閉症の診断を受けた人が「自閉症のくせに彼女がいて」と言われたとSNSに書いていた。たまたま自閉症でも、親からもらった名前がある一人の人として見てもらいたい
- ネットで見つけた発達障害の人たちが集まるカフェに友人と出かけてみた。だが、そこには自分より症状が悪い人たちが多く、とても居づらいような思いになった
- 自分の大学のゼミで議論の内容が分からなかった時、他の大学の耳の聞こえない友達に相談していた。友達も同じような悩みを抱えており、自分たちで議論の場を作った(筆談)
- 自分は人との距離を縮めるタイプで、入学当初多くの人に話しかけたが、大学の人たちとはうまくいかなかった。周りを見ていて、考え方が違うなと感じていた
- 大学で上京して一人暮らしを始めた。家族とは仲が悪いわけではないが、一人暮らしはとても自由で、楽園のような思いで過ごしている
- 診断されてから、母親への気持ちが変化したように思う。以前は、自分は出来ないことが多くよく怒られて怖かったが、診断されてからは「頑張ります」という気持ちが芽生えている