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インタビュー時年齢:25歳(2018年12月)
障害の内容:聴覚障害(ろう)
学校と専攻:大学・看護学(2011年度入学)、大学院(2015年度入学)
関東地方在住の女性。生まれつきのろうで、両親もろうの家に育った。中学2年生の時に看護師になりたいと思い、看護大学に進学した。大学では、ノートテイクや手話通訳のサポートを得ながら講義や演習、実習をこなし、看護師の国家資格を得た。その後大学院に進学し、ろうの利用者が集まる施設で看護職として働いたり、ろう団体から依頼されて講演活動などをしている。
語りの内容
聴診器は、音を大きくできる聴診器があったりとか、また、聴診器をパソコンにつないで心電図が見れるっていうのもあるというのを知っていたので。
でも自分、実際に使うのは何がいいかっていうのは分かんなかったんですけど、担当の先生と多分、基礎看護学の演習だったかなと思うんですけど、担当の先生が、ヘルスアセスメント(視診や聴診などから体の状態を判断する技術)の担当の先生、2人の先生とお会いして、いろんな聴診器の会社に来てもらって、実際に使ってみる…。
普通の聴診器だと本当に聞こえないので分からないんですけど、全く聞こえないので、音を大きくできる聴診器も、それも使ってみたんですがやっぱりそれもちょっと無理で、機械につないでっていうのはあるんですけど、肺の音、呼吸音は出ないとか、おなかの音も出ないとか、心臓だけ、その心拍だけは(出て)、(でも)雑音とか、そのいろんなものが全て情報が、出るわけではないんですよね。なので、まあ十分ではない…。
で、次に新しい聴診器というのが出たんですけれどもリットマンの、まあ、有名な会社ですけど、音を37倍に大きくできる聴診器というのが出たんですね。それを試しに聞いてみたら、分かったんですね、それで初めて…。で、それを買って使うことにしました…。
そ のときに先生がおっしゃったのが今でも覚えているんですけれども、聴診器が全てで、(それで人の身体の)全て分かるわけではない、大切なのは目で見る情報というのもできるし、触ってみるとか、喘鳴とか、はっきり聞こえるけれども、その何だろう、ちょっと微妙な音で、判断するのはありますよね。(音だけではなくて)他に、目で見て判断するっていう方法もある。そういう技術を身に付けて磨いていけばいいよというお話をしていただいたことを覚えています。
そして音の種類っていろいろありますよね、肺の音とか。その特徴を何か、この音の場合はどんな病気が考えられるとか、っていうことも覚えなきゃいけないよということも言われました。音によっていろいろ違いがあるということも覚えて…、あとDVDで、いろんな音を収録しているのがありますよね。それも借りて勉強しました。
でも実際なかなか(自分で音を聞いて)判断するのは難しいんですけれど、まあ、そういうのがあるんだなということはとても勉強になりました。
インタビュー02
- 入試の際は、全部の大学に、自分はろう者だと伝えていた。試験では、試験官が話す内容を紙に書いてもらい、面接ではゆっくり話してもらった(手話)
- 「聴覚障害者が看護の免許なんか取るのは無理なんじゃない」と言われることもあり、初めて社会に壁を感じた。最終的には、普通の高校生として接してくれた大学を選んだ(手話)
- グループワークや演習・実習は入学前には想像することができなかった。入学後に演習担当の教員がどんな配慮が必要か聞いてくれたので、要望を伝えることができた(手話)
- 聴診器は本当に色々試して、音を大きくできるものを使うことにした。それでも聞こえないものもあったが、先生からは、聴診だけで判断するわけではないと言われた(手話)
- リハビリ中の患者さんを担当した時、患者さんが立ち上がろうとしたのを通訳に教えられて気づいたことがあった。自分は患者さんの安全を守れないとショックだった(手話)
- インターンをした病院で「手話通訳に依存していては仕事はできない」と言われた。通訳の費用の問題もあり、研究にも興味があったので大学院に進むことを決めた(手話)
- 教職員は大変だったと思うが、しっかり対話をしてもらった。卒業時には、聴覚障害の学生を受け入れたことが「私たちの自信になった」とも言われ、とても嬉しかった(手話)
- 小中高はそれほど楽しかった印象はないが、大学はとても楽しかった。入学式で自分が聞こえないことを伝えて、理解してもらうなど、とても良くしてもらった(手話)