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インタビュー時年齢:25歳(2019年7月)
障害の内容:肢体不自由(脳性麻痺)
学校と専攻:大学・教育(2014年度入学)
関西地方出身の男性。脳性麻痺による肢体不自由で、手動車椅子を使用している。小中高までは普通学校で過ごし、大学は特別支援教育を学べる大学に進学した。山の上にあった大学はバリアも多かったが、約2か月の教育実習も行い、充実した学生生活を送った。自分が当事者として感じてきたことをもっと深めたいと思い、現在は関東地方の大学院で肢体不自由者について学んでいる。
語りの内容
普段のその授業の中でも、ここにこういう配慮が必要ですっていうことはもちろん言えるし、それをこう1年生のときから積み上げては行くんですが、なかなか実習場面だと、「ここに配慮が必要です」だけだとなかなか伝わらない。もちろん、もうちょっと具体的に言っていかなきゃいけないというのはいっぱいありますし、「こういうふうならできます」っていうふうな提案の仕方も一つあるんではないかなと思います。
やはり大学での、大学内での授業だと、そこまでこう本人のほうから提示をしていくっていうことよりかは、こう対話をしていく中で決めていくということもあると思うんですけど。実習のところでも対話は変わらないんですけど、「ここならこういうふうならできます、こうやったらできます、なので、ここをこうしてください」というような配慮の申し出の仕方も一つやっぱり必要になってくんだと思います。
やっぱり基本的にはやっぱり普段の大学の授業での、えーと、先生の所に行って配慮依頼文を出して、自分で調整だとか、対話をやっていくということの積み重ねだと思うんですけれど。えーと、その中で、例えばこういうふうな授業のやり方だとできるっていうのを気付いたりとか、あるいはここは申し出ても大丈夫だっていうことが分かってきたりだとか。
もちろん、その法的な、ここまでは大丈夫っていう所もあるんですけど、そういうふうなものを積み重ねていくことで、えー、いろんな出し方ができるっていうふうに。
「困っているんです」だけじゃなくて、「こう、こうならできるんですけど」っていう所まで言えると相手は非常に分かってくださるし考えてくださるので、そういうふうな出し方は、まあ、実習に限らずですけど、大学4年生になるくらいまでには、やっているような気がします。
インタビュー25
- 肢体不自由のために、別室受験と時間延長などの配慮を受けた。拡大されたマークシート用紙が扱いにくく、2年目はクリップを持ち込んだ
- オープンキャンパスの時、大学に行くまでが、すごい山だなと思ったが、合理的配慮の時代に入っていたので、何とかなるだろうと思っていた
- 学内では必要な配慮内容を伝えればいいが、実習場面だとなかなか伝わらない。困ることだけでなく、「ここならこういうふうにできます」という申し出も必要だと感じる
- 入学当初は自分が困っていることしか言わず、配慮が受けられないと「どうしてできないのか」と憤っていたが、徐々に大学側と妥協点を探っていくことが必要だと気づいた
- 科目試験に関しては、90分で800字を超えると手では書けないので、レポートに替えるなど別の方法にしてもらっていた。その文字数は、センター試験を参考にしていた
- 教育実習が1年生の頃からあったので、早くからとことん話して対応してもらった。服装の変更や、福祉タクシーで実習先の学校まで行くことなどを配慮申請した
- 実習では大変なこともいっぱいあったが、誰と協働してどう働いていくかというイメージを積み上げられた1か月だったので、本当に行って良かったと思った
- 中学の時に始めた車椅子の50メートル走とスラロームを大学まで続けてやっていて、その中でたくさんのことを教わった
- これから大学に入る人は、できるかできないかより、やりたいかを先に考えてほしい。子どもたちにも、まず何がやりたいかということを、大事にしてほしいと思っている
- 週に2回、1回2時間、総合支援法のもとで宿舎にヘルパーに来てもらい、入浴介助と洗濯と掃除をしてもらった。食事は大学の食堂があり困ることはなかった