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インタビュー時年齢:26歳(2020年12月)
障害の内容:肢体不自由(下肢障害)
学校と専攻:大学・工学部(2014年度入学)、大学院・機械工学(2018年度入学)
関西圏在住の男性。脊椎・胸郭異形成症による体幹機能障害で、短い距離は歩くことはできるが、外出には電動車椅子を使用。軽度の難聴もあり、骨伝導の補聴器を使っている。小・中学校では普通学級で学び、高校に進学してまもなく大きな手術を経験して1年間休学した。国立大学に進んで機械工学を学び、大学院に進学して修士号を取得。総合職の技術職として採用してくれるところを求めて就活をして、大手電機メーカーに就職して研究開発の仕事に従事している。
語りの内容
大学時代にですね、むしろ、その就職活動に対して不安を抱いたことはですね、自分の機械(工学科)っていうのは、その最初に言った5課程のうち、5種類の中で一番多い系統だったんですね、機械系っていうのが、学生は。まあ、それは学校の規模により、人数はよりますけど、機械って恐らく多いんですね、どの企業も。で、そういったところでですね、まあ、自分がみんなと同じ授業を受けてですね、みんなと同じものを持ったとして、まあ、当然、僕より賢い人がざらにいたので、「うわー、全然太刀打ちできないわ」。じゃあ、これを、例えば、この学生、みんな並べたときにですね、会社の方はね、どれを採るかっていったら、当然、同じ勉強をした人の中で優秀な人を採るんじゃないですか。それは明確じゃないですか…って僕は思ってたんで、「じゃあ、どうやって差別化するんだ」みたいな、何なら、こんな自分は制限されてる部分があって、それでも同じ総合職で雇ってほしいみたいな、うーん、何かないと難しいんじゃないかっていうか、ずっと危機感を覚えてたんですかね。
それで有効的なことができたかというと、うーん、確かなことはないんですけれども、まあ、自分は、ユニバーサルデザインとかに興味を持ってですね、途中からそういう資格試験を受けに自分で東京に行ったりとか。
自分の機械のそのカリキュラムで、そういうデザインを学べるかって言ったら学べないんですよね。文系の科目で、それに近い部分の授業はあるんですけど、じゃあ、その構造的な、こういう工学からそういうデザインを学べるかっていったら、そういうカリキュラムがなくて。だから、じゃあ、資格試験で一通りじゃないけど、ざっくりとでもいいから、知識を付けたいなって、で、それをもし取れれば、(エントリーシートに)書けるしみたいな、まあ、みんなと違うものだろうと思って。そういったところをですね、意識して、何かこう、よく2種類のものを掛け合わせて、イノベーションだとかよく言いますけど、まあ、そういったイメージですね。自分の付加価値をですね、何とか、こう、差別化できないかっていうところで、それで自分を売り出していかないと、自分を営業していくつもりで、そういうのを意識して、勉強しました。
だから、当然、みんなと同じように授業を受けて、研究をやるとかは当然で、みんな同じことをやってるんで、それだと、自分みたいな立場っていうと、まあ、言いたくないですけど、そういう弱い立場は物足りないし、何かこう、みんなと違うものを持ってるほうが、圧倒的に残ると思うんですよ、イメージ。いや、そういったところは意識してたし、自分も、まあ、今までの経験やそういう視点はですね、あのー、技術者として生かしていきたいとか、そういう話はしてたんですね。まあ、そういったことは考えてはいました、学生時代のときに。
理工系インタビュー11
- 振動工学の研究室では一人で実験するのは危ないということで、シミュレーションを使った研究を選んだ。手を動かすことが好きなので実験できないのは寂しかった(音声のみ)
- 技術職として就職した会社では実験も他の人と同様にやらせてもらっている。最初から「こういう人間だからこの仕事」と決めつけることのない社風がありがたい(音声のみ)
- 機械工学科は学生数が多く、優秀な人がたくさんいる中でどうやって差別化するかを考えて、ユニバーサルデザイン関連の資格試験を受けて自分に付加価値を付けた(音声のみ)
- 企業ホームページに障害者雇用のタブがあってもそちらで総合職採用されるのかわからず、直接聞く勇気もなくて不安で、20社ぐらいにエントリーシートを出した(音声のみ)
- 自宅は地元だったが、入学前に通学でバスを2回乗り換えることを伝えたら、寮を使わせてもらえることになった。学内の車道の見通しが悪い所の木も切ってもらった(音声のみ)(NEW)
- 活動は地域に根差した活動をすることがモットーで、定期演奏会などがローカル新聞に掲載され、活動が広がった。学生連盟の理事もして、120人規模の演奏会をした(音声のみ)(NEW)