ここでは、前立腺がんと診断された人のリンパ浮腫の体験についてご紹介します。前立腺がんの場合、股の付け根にあるリンパ節を介した通常のリンパ液の流れが阻害されて、リンパ液が滞り、足にむくみが起こります。多くの場合、股の付け根にあるリンパ節を手術で切除したり、リンパ節を含んだ場所に放射線を当てたり、がんがリンパ節に転移したりすることなどが原因です。足がむくんで太くなると、なかなか元には戻らなくなり、生活に支障をきたすこともあります。
今回、インタビューに答えてくださった前立腺がん体験者の中でお1人だけがリンパ浮腫を体験されていました。この方の場合、手術後4年経ってから、急に左足の腫れに気づいたそうです。お1人の体験では、多少偏りがあるかもしれませんので、浮腫を起こしている場所は異なりますが、「乳がんの語り」の中で紹介されているリンパ浮腫のトピックもぜひ参考にしてください。
リンパ浮腫になると、うっ血を防ぐために弾性ストッキングを履いたり、マッサージをするなどのケアによって改善を目指します。このインタビュイーの場合、家族が調べてくれた情報の中に、リンパ浮腫体験者の患者会がありました。この会を通して、ストッキングの購入やケアの仕方などの様々な情報や心の支えを得たと話されています。
リンパ節切除をした人は、わずかな細菌が侵入しただけでも強い炎症が起きて、むくんだ部分に発疹が出て急速に足全体が赤くなり、高熱を発する、蜂窩織炎(ほうかしきえん)と言われる状態になってしまうことがあります。このような症状は通常のリンパ浮腫とは異なり、感染による炎症ですので、普段のケアを中止し、受診する必要があります。
リンパ浮腫があると、日常生活上の工夫や注意が必要になります。そのため、さまざまな悩みも生じます。ここでは旅行時のエピソード、ストッキングの種類による使い分けの語りを紹介します。こういったストッキングは安いものではありませんが、2008年4月より、リンパ浮腫治療用の弾性スリーブやストッキング購入は保険適用(療養費払い)となっています。
リンパ浮腫のケアは毎日、コツコツと続けなくてはなりません。インタビューに協力してくれた男性は、妻の存在と趣味がケアの励みになっていると話していました。
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